2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of pathoetiology of porphyria by using a mouse model
Project/Area Number |
19K06455
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森 政之 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (60273190)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポルフィリン症 / モデルマウス / 遺伝子 / 組織障害 / 肝臓 / 皮膚 / 白内障 / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
コプロポルフィリノーゲン酸化酵素(Cpox)遺伝子に活性低下型突然変異をもつマウスにおける、ポルフィリン症、白内障、波状被毛の発症機序の解明を行った。 最終年度は、NCTマウスの波状被毛の第一の原因はCpox遺伝子とは別に、第7染色体上のprotease, serine 53 (Prss53)遺伝子の第1イントロンへのintracisternal A particleレトロトランスポゾンの挿入突然変異であることを明らかとした。PRSS53のQ30Rアミノ酸置換多型はヒトの毛髪形状の個人差に相関することが知られていることから、NCTマウスの被毛とヒトの毛髪の形状決定には共通の機序が存在し、NCTマウスはその分子機序を解明するためにも有用なモデルであることを示した。また、BALB.NCT-Cpoxnctマウスの白内障の原因に関して、Cpoxnct遺伝子変異に起因するレンズ内でのコプロポルフィリンの蓄積が、ケラチンやクリスタリンなどのタンパク質の凝集、小胞体ストレス反応の亢進、分子シャペロンでもあるαクリスタリンの合成レベルの抑制を惹起し、これらの反応の悪循環が白内障発症に帰結するとの分子機序を明らかとした。この成果は、ヒトの白内障発症における小胞体ストレスの関与機序の解明にも重要な示唆を与える。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果として、BALB.NCT-Cpoxnctマウスの2ヶ月齢以降の雄の一部の個体が、ヒトの遺伝性コプロポルフィリン症患者と類似した、真皮層の線維化と肥厚、皮下脂肪の薄化などの強皮症様の病態を、また、全ての個体が肝臓に細胞と細部核の肥大、脂肪滴の貯留、ミトコンドリアの形態異常などの重篤な病理変化を呈することを示した。コプロポルフィリンによるタンパク質凝集がポルフィリン症における多彩な病態の原因である可能性を提示した。
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