2021 Fiscal Year Annual Research Report
臓器特異的遺伝子編集によるRasドライバー発癌制御遺伝子座解析系の実証的構築
Project/Area Number |
19K06456
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鈴木 昇 三重大学, 地域イノベーション推進機構, 准教授 (00202135)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | Ras遺伝子変異 / Rasドライバー肺癌モデル / 量的遺伝子座解析 / CRISPR/Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ras遺伝子変異に抵抗性のA/J系統と高感受性のC57BL/6系統のRasドライバー肺癌モデルを構築した。B6系統はAJ系統の、12.5倍の感受性を示す知見をベースに量的遺伝子座(QTL)解析を進めてきた。解析解像度は、230個のpolymorphismマーカーを用いての約10cM間隔である。結果、従来の化学発癌モデルでは見出せなかった新規16の制御遺伝子座を見出した。これらの新規遺伝子座は、2系統間で優位に肺発がんの促進または抑制を認めた。責任遺伝子を候補するため、まず、Sunger Mouse Genome Preject データベースによるで2系統の遺伝子座にある遺伝子配列比較を行って、Mature miRNA variant、Splice region variant、Missense variant、NMD transcript variant、Inframe variant、3-5-UT変異を指標に662個の遺伝子を抽出した。次いで、Pubmed 論文検索により、 Ras シグナル伝達系、癌細胞の増殖、細胞死、細胞運動性、臨床データにおいて癌悪性度との関連等を指標に、81個の遺伝子に絞り込んだ。このうち、肺腫瘍細胞株で発現している35遺伝子についてRNAiによるノックダウンによる細胞増殖の影響を調べた。結果、増殖を抑制する20個の遺伝子( Dusp4、Chek2、Sik3、Zdhhc2、Zfhx3、Cdc7、Nat2、Rph3al、Fto、kmt2a、Srsf6、Nfat5、Trim25、Ddx39、Calr、Mrps23、Naf1、USP32、Ndrg4、Adam8)、増殖を促進する1個の遺伝子(Dek)を見出した。今後、CRISPR/Cas9システムの応用により、肺癌モデルマウスの発癌誘導時にこれらの遺伝子を癌細胞でノックアウトするシステムで機能解析する。
|