2019 Fiscal Year Research-status Report
アンドロゲンによる異物代謝酵素遺伝子の発現制御の解析:GHR-KOブタを用いて
Project/Area Number |
19K06463
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小島 美咲 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, シニア特別研究員 (80355742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淵本 大一郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (10343998)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | GHR-KOブタ / アンドロゲン / Cytochrome P450 / CUX2 / BCL6 / 肝臓 / 腎臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 成長ホルモン受容体欠損(GR-KO)ブタのヘテロ同士で交配を行い、8頭 (ホモの雄3頭, 雌1頭:ヘテロの雄1頭, 雌2頭:野生型の雌1頭) の産子を得た。遺伝子型による生時体重の差は認められないが、ホモ個体では野生型およびヘテロ型と比較して2ヶ月齢以降の体重は低く、5ヶ月齢では50%以下であった。この結果は既報論文(Sci. Rep., 5, 15603, 2015: Mol. Metab., 11, 113, 2018)の結果と一致していた。 2) 5ヶ月齢のMeishan、Landrace、テストステロン(T)を投与した5ヶ月齢の去勢雄や雌の腎臓におけるCYPの発現をreal time RT-PCRで測定し、肝臓での結果と比較した。CYP1A1, CYP1A2の腎臓での発現は、肝臓とは異なり何れの品種でも性差はなくT-投与効果も認められなかった。CYP2A19, CYP2C33, CY2C49では、肝臓と同様の性差およびT-投与効果が認められた。一方、CYP2B22, CYP3A29, CYP3A46の腎臓での発現は、肝臓とは逆の性差およびT-投与効果が認められた。以上から、TによるCYP発現制御には臓器選択的因子の関与が示唆された。 3) マウスの成長ホルモン(GH)依存的な性差発現に関わるとされるSTAT5b, BCL6, CUX2について、ブタの肝臓における遺伝子発現にT依存性が有るか否かを2)と同様にして解析した。STAT5bおよびBCL6の発現には性差およびT投与効果は認められないが、CUX2は両品種ともに雄>雌の性差および雄の去勢による発現減少と去勢雄および雌へのT投与による発現上昇が認められ、アンドロゲンがCUX2発現の制御に関わることが示唆された。また同様に、腎臓でもCUX2の発現に雄>雌の性差が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
8回の交配を試みたものの2頭の雌から8頭の産子しか得られず、GHR-KOブタの特性解析や異物代謝酵素の構成的発現の解析を行うことができなかった。肝臓と腎臓における異物代謝酵素や転写因子の発現に及ぼすアンドロゲンの影響については今後に繋がる新たな知見が得られたが、主たる目的であるGHR-KOブタでの知見が得られなかったので、遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
GHR-KOブタの生産については、ヘテロ同士の交配に加え、より多くのホモ型が得られるようヘテロxホモあるいはホモ同士の交配を行う。本年度個体数の不足で得られなかったGHR-KOと野生型のブタの血中生化学成分および肝臓や腎臓における異物代謝酵素遺伝子や転写因子の構成的遺伝子発現を解析し、野生型との比較によりGH/GHRの構成的発現への関与を明らかにする。ホモ個体をテストステロン投与群と未投与群に分け、異物代謝酵素や転写因子の発現変動を比較することで、テストステロン制御におけるGH-GHRの関与を解析する。また、ブタの薬物トランスポーターについては構成的発現における性差やアンドロゲン依存性発現の報告はなく、合わせて解析を行うこととする。
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Causes of Carryover |
本年度はGHR-KOブタの生産頭数が少なかったため、予定していた解析ができなかったこと、参加を予定していた学会がCOVID-19のため開催されなかったことから未使用額が生じた。未使用額については、本年度解析予定であった血中生化学成分の委託解析、血中テストステロン濃度などを測定するためのELISAキット、遺伝子発現関連等の試薬等に使用する。
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