2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of genetic factors act on heterogeneous pathology in microphthalmia using rat model
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19K06473
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
和田 健太 東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (20508113)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小眼球ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
Nodai aphakia(NAK)ラットは眼球組織を欠損した突然変異である。我々は、NAKラットと遺伝的背景の異なるBrown Norway(BN)、Wister(WI)およびF344系統との交配個体はヒト小眼球症にみられる病態の不均一性を示し、さらに交配する系統によって発症頻度が異なることを明らかにしてきた。本研究は、NAKラットの眼球欠失および表現型の不均一性に作用する遺伝子変異を同定するために、以下の項目において実験を実施した。 1. Cyp4v3、Tti2、Abca4およびGja8の遺伝子発現解析を行った。その結果、NAKのCyp4v3、Gja8およびAbca4は胎児期の眼球に加えて、肝臓以外の複数の組織において発現量の低下が認められた。さらに、nak/+のCyp4v3は野生型に比べて遺伝子発現量が約半分まで減少したことから、Cyp4v3のnakアレルはその転写産物の減少を引き起こすことが明らかとなった。加えて、これら遺伝子がコードするタンパク質群における免疫組織染色を行った結果、CYP4V2は野生型の水晶体上皮に強いシグナルが観察されたのに対して、NAKにはそれが検出されなかった。野生型の水晶体上皮および網膜に発現するABCA4はNAKにおいてほとんどシグナルが検出できなかった。水晶体胞および線維細胞に発現することが報告されているGJA8は野生型において強いシグナルが観察されたのに対して、NAKでは検出されなかった。これらの結果は、CYP4V2、ABCA4およびGJA8がNAKの小眼球症に関与することを示唆した。 2. Cyp4v3のnakに類似した突然変異アレルを導入したゲノム編集マウスを作製した。しかし、作製したゲノム編集マウスは致死的な表現型を示したため、そのnakアレル効果を検証するに至らなかった。このため、再度のゲノム編集を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は研究活動が制限されたのに加えて、新型コロナウイルス感染症対策には多大な労力を要した。加えて、Cyp4v3のゲノム編集マウスが致死性の表現型を示したことも予想外であった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、再度Cyp4v3.nakマウスの作製を進めている。ABCA4のゲノム編集についても次年度に行う予定である。昨年度に見出されたF344において高いnak感受性に関わる遺伝因子の解明のために、F2個体を用いた遺伝解析を継続して行う。加えて発生過程の眼球におけるPAX6、OTX2、SOX2、Rax、クリスタリンなどのマーカータンパク質の免疫組織染色についても進める。
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Causes of Carryover |
本年度は研究活動が制限されたのに加えて、新型コロナウイルス感染症対策には多大な労力を要した。そのため、計画通りに研究を進めることが困難であった。次年度は通常通りといかないまでも、研究活動に割ける時間が確保できたため、本年度に進めることができなかったゲノム編集、遺伝子・タンパク質発現解析および遺伝解析などに関わる費用に使用する。
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