2021 Fiscal Year Research-status Report
Identification of genetic factors act on heterogeneous pathology in microphthalmia using rat model
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19K06473
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
和田 健太 東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (20508113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 欣亮 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, プロジェクトリーダー (20280787)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小眼球ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 前年度に引き続き、Cyp4v3、Tti2、Abca4およびGja8について、眼球発生過程の眼球組織における定量的遺伝子発現解析を行った。Cyp4v3、Tti2およびGja8は野生型の胎齢12.5日(E12.5)に比べてE14.5に眼球組織に高発現が認められた。これらの結果は、既知のGJA8に加えてCYP4V2およびTTI2が眼球発生において機能する分子であることを示唆した。Cyp4v3転写産物は、E14.5において野生型に比べてnak/+およびnak/nakに大幅な減少が認められた。また、Tti2は、Cyp4v3の発現パターンと同様であった。眼球組織が正常に発生するヘテロ接合体において遺伝子発現量が減少したことから、Cyp4v3およびTti2のnakアレルはその転写産物に影響し、それは眼球発生の異常に関与することが推測された。 2. NAKの眼球発生異常のメカニズムを理解するため、眼球発生マーカータンパク質の発現解析を行った。その結果、ほとんどの水晶体マーカーはNAKにおいて検出されたのに対し、SOX2は発生過程の神経網膜において欠失した。加えて、網膜色素上皮マーカーであるOTX2はNAKの予定神経網膜に異常局在した。さらに、VSX2およびRaxはNAKの網膜において欠失した。これらの結果は、NAKの無眼球症が発生過程の神経網膜前駆細胞の増殖不全に起因することが推測された。 3. 前年度は致死的な表現型を示したCyp4v3のゲノム編集マウス(Cyp4v3#15)に本年度は成功した。詳細な表現型は解析中であるものの、生後個体の眼球組織に外貌的な変化は認められなかった。そこで、よりnakアレルに類似した変異を導入したゲノム編集マウスを作製した。現在は、Cyp4v3#15の詳細な表現型解析と並行して、新たに作成されたマウスの系統樹立を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究が予定より進まなかった理由は、前年度から続くコロナ禍の影響により、その対応に時間が割かれたこと、研究試薬などの納入が遅れたことが挙げられる。そのため、研究代表者は予定していた研究期間を延長することを決断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに、NAKの小眼球症への関与が示唆された4種の遺伝子発現プロフィールが明らかになり、それらの一部は有力な分子であることを示すことができた。さらに、NAKの発生眼球の消失は神経網膜の増殖不全に起因することを強く示唆するデータも得られた。そして、前年度にはできなかったCyp4v3のゲノム編集マウスの作製に成功した。従って、次年度は2種のCyp4v3のゲノム編集マウスの表現型および遺伝子発現解析を中心に実施する。一方、Cyp4v3のゲノム編集マウスが劇的な表現型を示さない可能性もあるため、詳細なファインマッピングおよび変異解析も継続して行う。さらに、前年度にNAKの無眼球症への強い関与が予測されたTti2についてnakアレルを導入したゲノム編集マウスを作製する予定である。Tti2ゲノム編集マウスが作製でき次第、Cyp4v3およびTti2の2重変異マウスの作製と、その表現型解析を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、研究の進捗が遅れ、使用予定であった試薬などの購入が遅れたため、研究機関を延長した。
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