2021 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集用一体型アデノベクターとヒト型マウスの開発による遺伝子治療モデルの構築
Project/Area Number |
19K06476
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中西 友子 順天堂大学, 医学部, 助教 (10344863)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 泉 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, チームリーダー (70158913) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | フェニルケトン尿症 / ゲノム編集 / Cas9 / ガイドRNA / アデノウイルスベクター / 治療モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ゲノム編集用アデノベクターを利用したフェニルケトン尿症(PKU)治療モデルの構築を目指している。昨年度は、PKUモデルマウスのフェニルアラニン水酸化酵素(PAH)遺伝子の点変異を正常に戻すためのノックイン用共感染型アデノベクターを作製し、ドナーDNAを1.5 kbから4 kbに伸長させることで両側の相同組換えが可能になることを明らかにした。今年度は、相同組換え効率上昇を目指し、アデノベクターに搭載した4 kbのドナーDNAをガイドRNAによりアデノベクターから切出すことが可能な新たなベクターを構築した。このベクターでは相同組換え効率が約1.5倍に上昇した。また、NHEJ阻害剤の使用や、Cas9発現アデノベクターに対するドナーDNA搭載アデノベクターの比率を上げることにより、相同組換え効率はさらに上昇し、培養細胞において最大で約4%の細胞で相同組換えが起こる系を構築することができた。そこで、開発したドナーDNA切出し型アデノベクターをPKUマウスに接種し、マウス個体での治療モデル系の構築を試みた。その結果、血中フェニルアラニン濃度を最大で3分の2に減少させることができた。このことは、肝臓細胞で変異エクソンを正常エクソンに置換できたことを示している。しかし、ドナーDNAの両側ノックイン効率は1%以下にとどまり、標的部位の下流にノックイン効率を下げる構造がある可能性が示唆された。今後、開発したノックイン用アデノベクターの接種とバニリンなどのNHEJ阻害剤の投与を組合せた治療モデル系の構築を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フェニルケトン尿症モデルマウスにゲノム編集アデノベクターを接種することにより、効率は低いものの、肝臓細胞で変異エクソンを正常エクソンに置換することができた。また血中フェニルアラニンの減少も観察され、アデノベクターを利用して肝臓細胞にノックインすることに成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
フェニルケトン尿症モデルマウスにゲノム編集アデノベクターを接種し、ノックインによる治療効果が見られたが、ノックイン効率が1%にとどまっていることから、今後NHEJ阻害剤を使った高効率な治療モデル系の開発を進める。
|
Causes of Carryover |
研究代表者の所属機関の移動により研究環境整備に時間を要し、再現実験実施のための時間を必要とする。具体的には、フェニルケトン尿症モデルマウスに治療用アデノベクターを接種し、治療効果の再現性について検討を行う。
|
Research Products
(2 results)