2019 Fiscal Year Research-status Report
PIWIタンパク質BmAgo3のリン酸化制御の解析
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19K06484
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泉 奈津子 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (50579274)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | piRNA / Ago3 / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、BmAgo3のリン酸化部位の同定と、リン酸化が及ぼす影響について解析を行った。予備実験において、BmAgo3のリン酸化はSiwiノックダウン下で亢進したことから、Siwiノックダウン下においてBmAgo3の免疫沈降を行い、質量分析解析によるリン酸化ペプチドの同定を試みた。これによりいくつかのリン酸化ペプチドの同定に成功した。同定されたリン酸化部位のほとんどは、構造をとらないことが予測されているN末端領域に集中していることが明らかとなった。次に同定されたすべてのリン酸化部位に変異を導入し、リン酸化型およびリン酸化非感受性型のBmAgo3を発現するコンストラクトを作製し、その挙動を野生型BmAgo3と比較した。その結果、リン酸化型変異体では、野生型に比べ発現量が低く、piRNAの結合量がやや少ない傾向がみられた。一方で、リン酸化非感受性型は野生型と同等の発現を示したが、piRNAの結合量はやや多い傾向がみられた。これらの結果から、BmAgo3のリン酸化がBmAgo3タンパク質の安定性や、piRNA結合に影響する可能性が考えられた。そこで、リン酸化型およびリン酸化非感受性型BmAgo3が結合するpiRNAライブラリを作製し、野生型BmAgo3が結合するpiRNAとその性状を比較した。しかし、現時点での解析ではいずれの変異体が結合するpiRNAも野生型BmAgo3の結合するpiRNAに比べやや長いという傾向があるものの、明確な質的相違は見い出せていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リン酸化部位の同定および変異体を用いたリン酸化の影響の解析において、一定の結果が得られ、当初の計画に沿って研究が進んでいることから、「おおむね順調に進展している」と判断した。一方で、リン酸化とpiRNA産生との関係については、今後詳細な解析を行い、直接的な関係があるのかその見極めが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、同定されたすべてのリン酸化部位に変異を導入した変異体を用いて解析していたため、今後は個別のリン酸化部位の変異体を作製し、観察された表現型がどのリン酸化部位の変異に起因するものなのかを特定する。表現型の原因となったリン酸化部位を特定できた場合、野生型BmAgo3とその変異体の局在や相互作用因子の相違を詳細に解析することで、原因となる分子機構を探る。 BmAgo3に結合するpiRNAは、ピンポン経路において、BmAgo3による標的切断に伴い、Siwiに取り込まれるペアとなるpiRNAを産生する。このことから、リン酸化とpiRNA産生との関係については、BmAgo3リン酸化変異体発現下におけるSiwi結合piRNAへの影響についても解析を行う。 また、BmAgo3のリン酸化を司るキナーゼを同定する試みとして、BmAgo3のリン酸化が亢進するSiwiノックダウン下においてBmAgo3複合体を精製し、その複合体中にキナーゼが含まれていないかを質量分析により調べることを計画している。
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Research Products
(1 results)