2019 Fiscal Year Research-status Report
RNA干渉による転写依存的な抗体遺伝子の不安定化機構
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19K06485
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 牧 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (20400690)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | AID / アンチセンスオリゴ / ゲノム不安定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、切断DNA領域に集積するタンパク質の解析を行った。免疫グロブリン遺伝子Salpha領域に高度に濃縮されるタンパク質分子Xについて主にノックダウン法によりその機能を検証した。切断DNA領域に集積するタンパク質の解析として、抗体遺伝子Salpha領域に高度に濃縮されるタンパク質分子Xについて主にノックダウン法によりその機能を検証した。クラススイッチ組み換えやcMyc遺伝子と抗体遺伝子との染色体転座が低下したのに反し、抗体抗体遺伝子の体細胞変異頻度やDNA切断シグナルは却ってやや増加していた。これはXのノックダウンにより他のターゲット分子に影響が及ぶために全般的なゲノムDNAに不安定化が現れたものと解釈できた。抗体遺伝子SmuやSalpha領域のR-loop検出シグナルには変化がなく、XはRNA結合因子であるものの、IgH領域のnoncoding RNAに作用するのではなく、Xが持つもう一つの生物活性である酵素活性が主にタンパク質に対して働いていると考えることができた。3Cアッセイによるとクラススイッチの際に生ずるSmuとSalphaが近づくシナプス構造がXのノックダウンにより障害されていた。XはAIDと結合することを示唆する結果も得られ、AIDに対する直接作用があると考えられた。 また、Top1とLNA-アンチセンスオリゴとがRNAポリメラーゼによる転写領域で引き起こすDNA切断のin vitroモデルを構築し、DNA構造の変化を二次元電気泳動法により確認する方法を確立した。 2019年12月にはRNA干渉によるDNA切断メカニズムについて、現在までに解析の進んだ総合的な内容について、第42回日本分子生物学会年会にて口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度のため、この進捗状況は実績の概要と重なる。 また、S領域を抽出したDNA領域を含むプラスミドを構築し、T7RNAポリメラーゼによる転写領域で引き起こすDNA切断のin vitroモデルを構築した。これに、Top1とLNA-アンチセンスオリゴ、RNaseHなどを加え、DNA構造の変化を二次元電気泳動法により観察することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
XについてはAIDによるシナプス結合の分子メカニズムを解くための大変興味深い知見が得られたが、RNA干渉との関連が薄いため、同じ実験系を用いて切断DNA領域に集積するRNAの解析をすすめる。また、抗体遺伝子non-coding RNAに結合するタンパク質の解析を行う。non-coding RNA転写領域のDNA構造の変化をさらに詳細に解析するためのpsoralen法、十文字DNA構造を認識する抗体などを用いたChIP法を組み合わせ、DNA構造の変化を検討する。これらを通じて、なぜ抗体遺伝子のS 領域のみが、RNA干渉により雪崩のようなDNA切断に陥るのかを解明する。
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Research Products
(2 results)