2021 Fiscal Year Annual Research Report
RNA干渉による転写依存的な抗体遺伝子の不安定化機構
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19K06485
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 牧 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (20400690)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 核内転写活性化領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、切断DNA領域に集積するタンパク質とRNAの解析を行った。特徴的な配列を持つnoncodingRNAと、そのRNA干渉による抗体遺伝子の切断の増加から、転写されたRNAが切断領域において場を形成する可能性を考え、noncodingRNAの画像的解析を行なった。RNA-FISH (fluorescent in situ)法を用いて、抗体遺伝子のDNA切断部位であるSmuやSalpha領域に特異的なプローブをデザインし、染色を行なった。大変興味深いことに、切断DNA領域から転写されるnoncoding RNAが核外へ排出されずに切断部位のクロマチン周辺にRNAが滞留していた。同時に、Smu領域とSalpha領域とは刺激前から近接した位置関係にあり、刺激後には遺伝子組換えを反映してオーバーラップしていた。AIDノックアウト細胞では予想通り、近接するものの、刺激後にオーバーラップは起きなかった。Bリンパ球由来の培養細胞のみならず、マウス脾臓B細胞においても同様の切断領域のRNA蓄積が観察され、B細胞の発生段階のどの時点からこのような蓄積が観察されるのか、新たな課題も見つかった。さらにこれらの集積は核内転写活性化領域に位置する割合が一定の頻度で認められ、DNA切断に必須の分子のノックダウンにより不活性化領域に移動することが明らかになり、転写とDNA切断の分子メカニズム理解を前進させる結果が得られた。 抗体遺伝子non-coding RNAに結合するタンパク質の解析のため、noncoding RNAに結合するタンパク質をホルムアルデヒドで固定、noncoding RNAをビオチン化プローブで濃縮、得られたタンパク質分画を質量解析するChIRP-MS法をプローブセットを2回作り直しチャレンジしたが、予想に反して特異的なパターンを得ることができず、手法の改良が必要であった。
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