2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒトSMC5/6複合体の網羅的アンバイアス解析:オーキシンデグロン法を中心に
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19K06495
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
夏目 豊彰 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 助教 (10435513)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | SMC5/6 / オーキシンデグロン法 / ヘテロクロマチン / セントロメア / リボソームDNA / DNAの絡まり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、オーキシンデグロン法、スクリーニング、ライブセルイメージング、ゲノム科学的手法を駆使した網羅的且つアンバイアス解析を通して、未だその機能が謎に包まれているヒトSMC5/6複合体の全容を明らかにすることを目的としている。今年度はまず、オーキシンデグロン法を用いて、ヒトSMC5/6の構成因子を分解除去した際の表現型解析を行った。その結果、SMC5/6は様々な染色体上の反応(複製、組換え、修復)によって生じる姉妹染色分体間の「絡まり」(sister chromatid entanglement)の抑制・解消に重要であることを確認した。また、この役割はセントロメアやリボソームDNAなどの高度な反復配列の領域で特に重要であった。SMC5/6を分解除去した細胞では、DNAの「絡まり」がM期の染色体分配異常を引き起こし、微小核形成とDNAダメージ蓄積を伴う細胞周期停止を引き起こした。次に、クロマチン免疫沈降法を用いたSMC5/6の染色体結合の高解像度マッピングを行った。興味深い事に、SMC5/6は上述のセントロメアやリボソームDNAに多く結合することに加え、ヘテロクロマチンや転写活性の高いドメインにも多く結合した。さらに、SMC5/6の染色体結合は細胞周期によって制御されていた。これらの結果は、蛍光タンパク質を結合させたSMC5/6の蛍光顕微鏡観察においても確認した。現在、さらに詳細な解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表現型解析や染色体局在解析は当初の計画以上に進展し、いくつか興味深い予想外な結果も得られた。遺伝的および物理的相互作用因子のスクリーニングに関しては、細胞株の準備が終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り進めるが、遺伝的および物理的相互作用因子のスクリーニングに関しては優先度を上げる。
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Research Products
(6 results)