2021 Fiscal Year Research-status Report
Nuclear function and stress response of HSP70 regulated by nucleocytoplasmic transport carrier Hikeshi
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19K06500
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小瀬 真吾 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (90333278)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 核-細胞質間輸送 / 熱ストレス応答 / タンパク質恒常性維持 / HSP70 / Hikeshi / HSF1 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱ストレス時に分子シャペロンHSP70はHikeshiによって細胞質から核に運ばれる。熱ストレス時には、転写因子HSF1によってHSP70などの熱ストレスタンパク質の遺伝子発現が誘導される。しかし、Hikeshiノックアウト細胞では、正常温度下でもこれらの遺伝子発現が亢進していることがRNA-seq解析から明らかになった。HSP70は、正常温度においても核に少し存在する。また、HSP70はHSF1に結合し、HSF1の転写活性を抑制することが知られていた。しかし、正常温度下の核内でHSF1転写活性がHSP70によって制御されているのかは明らかではなかった。また、HSP70はタンパク質恒常性維持に重要な役割を持つ分子であることから、Hikeshi機能欠損細胞では、核でのタンパク質構造安定性に異常が見られる可能性が考えられた。本研究目的は、Hikeshiの機能解析を通して、HSF1活性制御などHSP70の「核内」機能を明らかにすることである。 本年度は、HSF1制御遺伝子のmRNA発現量を定量PCR法によって検証確認した。その結果、Hikeshiノックアウト細胞では、野生型細胞に比べて、正常温度下においてもHSF1制御遺伝子の発現が亢進すること、さらに熱ストレス時には、HSF1制御遺伝子の発現上昇が遅れ、ストレス回復期でもそれらの遺伝子発現が持続することを明らかにした。 次に、神経変性疾患を誘引するポリグルタミンタンパク質発現による細胞毒性を検証した。核局在化ポリグルタミンタンパク質を細胞内で発現させると、Hikeshiノックアウト細胞では、野生型細胞に比べて、アポトーシス活性が亢進し、このアポトーシス活性は核局在化HSP70の共発現によって抑制された。これらの結果から、HikeshiによるHSP70の核への輸送が、核でのタンパク質恒常性維持機能に重要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Hikeshiノックアウト細胞では、野生型細胞に比べて、核内HSP70量が有意に低下している。Hikeshiノックアウト細胞では、HSF1制御遺伝子の発現が正常温度下でも亢進していることをRNA-seq並びに定量PCRで確認した。Hikeshiノックアウト細胞に、Hikeshiもしくは核移行シグナルを付加したHSP70を発現させると、これらの遺伝子発現は抑制された。また、熱ストレス応答時においても、Hikeshiノックアウト細胞では、HSF1制御遺伝子の発現誘導が遅れ、熱ストレス解除後も発現誘導が持続する傾向にあることを明らかにした。以上の結果から、HSF1の転写活性制御に核内のHSP70が重要な機能を持っていることを明らかにした。 Hikeshiノックアウト細胞では、HSP70の核への移行が阻害されるため、核でのタンパク質恒常性維持機構が正常に働かない可能性が考えられた。核局在化シグナルを付与したルシフェラーゼの活性を指標に、核でのタンパク質安定性を解析すると、Hikeshiノックアウト細胞では、核内ルシフェラーゼの活性低下が促進していた。また、核局在化ポリグルタミンタンパク質を細胞内で発現させると、Hikeshiノックアウト細胞では、野生型細胞に比べてアポトーシス活性が亢進した。このアポトーシス活性はHikeshiや核局在化HSP70の共発現によって抑制された。これらの結果は、HikeshiによるHSP70の核への輸送が、核でのタンパク質恒常性維持機能に重要であることを示すものである。
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Strategy for Future Research Activity |
HikeshiによるHSP70の核への輸送が、核でのタンパク質恒常性維持機能に重要である。特定のHikeshi点変異が人での遺伝性疾患と関連していることが明らかになっているが、その作用機序は不明である。Hikeshi点変異体安定発現細胞を用いて、これらの細胞でもHSF1発現制御やタンパク質恒常性維持機構に異常が見られるのかを検証していく。 また、HSP70は様々なコシャペロンの作用によって分子シャペロンとして機能する。代表的なコシャペロンであるJドメインタンパク質はヒトでは50種類以上存在する。しかし、どのJドメインタンパク質が核でHSP70と協調して機能しているのかはほとんど判っていない。そこで、Hikeshiノックアウト細胞を使用して、どのJドメインタンパク質が核においてHSP70と機能しているのかを明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナによる活動自粛期間等によって予算使用額が予定より少なかった。また、学会参加や研究打ち合わせの費用も当初の予定よりかなり少ないものとなった。本年度におけるsiRNAによるスクリーニングやプロテオミクスなどのタンパク質同定を行う費用に重点的に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)