2022 Fiscal Year Research-status Report
細胞質における機能性RNA生成機構の解明とRNAベクター技術への応用
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19K06501
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
佐野 将之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80415687)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | miRNA / 細胞質RNAベクター / 人工miRNA / RNAi |
Outline of Annual Research Achievements |
センダイウイルスはネガティブ一本鎖RNAをゲノムに持つウイルスであり、宿主の細胞質において、ウイルスゲノムの複製及びウイルスmRNAの転写を行う。我々は、センダイウイルスを骨格とした非伝播型ベクターを開発しており、このベクターから発現させたmiRNA前駆体が、機能をもつ成熟miRNA にprocessingされることを確かめている。本研究では、細胞質でのmiRNA生成機構に焦点を当てており、昨年度、miRNA前駆体のprocessingに関与する因子を調べるために、ゲノム編集によりmiRNA processing因子をノックアウトした細胞株の作製を試みた。しかし、miRNA processing因子の欠損が細胞増殖に影響を与えるためか、目的クローンを得ることが困難であった。このため、本年度はprocessing因子ノックアウト株を蛍光レポーターの発現を指標に取得できる系の構築を試みた。得られたノックアウト株については、miRNA前駆体を発現するセンダイウイルスベクターを導入し、miRNA processing効率を検証した。さらに、miRNA前駆体の構造がprocessingに影響を与えることから、前駆体に変異やバルジを挿入し、それらがmiRNA processingに与える影響を検証した。また、miRNA前駆体と結合する因子を同定する目的で、細胞質でのprocessing効率が高いmiRNA前駆体を用いたプルダウンアッセイについても検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、miRNA processing因子ノックアウト細胞株を取得し、この細胞を用いることで、センダイウイルスベクターからのmiRNA前駆体 processingへの影響を調べることができた。また、miRNA前駆体に部分的変異やバルジを挿入したベクターを用い、miRNA processing効率への影響を調べることができた。現在、ノックアウト実験と合わせて、processingに影響を与える構造の検証を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノム編集により、複数のmiRNA processing因子ノックアウト細胞を作製し、センダイウイルスベクターからのmiRNA processingに影響を与える因子について検証を進める。また、これまでに構築したT7 RNA polymeraseを用いた評価系、プルダウンアッセイなどの生化学的実験を組み合わせ、細胞質でのmiRNA前駆体processingに関与する因子およびprocessingに影響を与えるmiRNA前駆体構造の検証を行う。
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Causes of Carryover |
これまでのCOVID-19による影響により、想定よりも研究の実施に遅れが生じているため、一部を次年度に使用することとした。次年度は、主に研究計画を遂行するために必要な研究試薬、消耗品の購入費用に充てる。
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