2020 Fiscal Year Research-status Report
ニューロンにおける維持型DNAメチル化酵素DNMT1の機能解明
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19K06502
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
波平 昌一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (60379534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新木 和孝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (60514255)
齋藤 裕 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (60721496)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / 神経細胞 / DNMT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マウスとヒトの神経細胞(ニューロン)において、分裂を終えた細胞での機能が未知である維持型DNAメチル化酵素DNMT1に着目し、その機能解明と、精神・発達障害との関連を明示することである。2020年度は、昨年度に実施されたタンパク質相互作用解析と、作製したトランスジェニックマウスを用いて、DNMT1のニューロンにおけるDNAメチル化制御機構の詳細なメカニズム解明を目的として研究を進めた。その結果、DNMT1がクロマチン制御因子だけでなく、他のDNAメチル化修飾因子と相互作用することにより、ニューロン特異的エンハンサー領域のメチル化維持に必須であることを突き止めることが出来た。更に、神経前駆細胞と野生型及び遺伝子変異マウスの成体ニューロンとの全ゲノムメチル化解析を実施し。その結果、興味深いことに、ある特定の領域においては、DNMT1がDNA脱メチル化に必須であることも明らかにした。特に、詳細なゲノム解析により、このDNMT1によるDNA脱メチル化は、あるDNA相互作用因子のDNAへの結合を阻害することで達成されると推察できた。このように、本年度の研究の遂行により、マウスニューロンにおけるDNMT1のメチル化制御メカニズムがおおよそ明らかにすることが出来たと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り、2020年度は、目標としていたDNMT1が担うエンハンサー領域のメチル化制御機構と特定領域の脱メチル化機構について概ね明らかにすることが出来た。更に、次年度実施予定のヒト大脳オルガノイドを用いた解析についても準備を整えた。従って、概ね順調に進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、ニューロンにおけるDNMT1のDNA結合領域を明らかにし、これまでの成果をまとめ論文として発表することを目指す。更に、ヒト神経幹細胞及び大脳オルガノイドを用いた解析を実施し、ヒトのニューロンにおけるDNMT1の機能と役割についても明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で国内外への出張が無くなったため、旅費をその他の消耗品費等に充填したがそれでも使用しきれなかった。次年度はその分を消耗品費としてヒト神経幹細胞の培養試薬費などに充て有効に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)