2019 Fiscal Year Research-status Report
動的オリゴマー形成因子の分子構造変化によるWntシグナル伝達制御の構造基盤の解明
Project/Area Number |
19K06508
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
寺脇 慎一 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (10452533)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | Wntシグナル / 動的オリゴマー形成 / 酵素的ペプチド連結 / 蛍光共鳴エネルギー移動 / X線結晶解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、Wntシグナル伝達で機能する動的オリゴマー形成因子群によるシグナル伝達制御の分子機構を酵素的ペプチド連結法、蛍光共鳴エネルギー移動法などの発光を用いた分子間距離解析法とX線結晶構造解析をもちいて解析し、分子間相互作用によって誘導される動的オリゴマー形成因子の構造変化を捉えて、蛋白質リン酸化酵素群の分子活性に及ぼす効果を解析することで、動的オリゴマー形成因子による新規なシグナル伝達制御の仕組みを原子レベルで解明する。本年度は、動的オリゴマー形成因子Axin-CK1複合体のX線結晶構造解とAxinの調製に向けた酵素的ペプチド連結反応系の構築と分子構造解析に取り組んだ。Axin-CK1複合体のX線結晶構造解析については、結晶化に適した試料調製法を確立して結晶化を試みたところ、初期スクリーニングにおいて球形のクラスター結晶が析出する条件を複数同定した。現在、条件の最適化をおこない、X線回折実験に適した単結晶の調製を試みている。また、AxinのCcd1またはDvlとのヘテロオリゴマー形成にともなう分子構造解析については、NanoBit法をもちいた解析をおこない、蛍光標識をおこなうことなくNanoLuc活性としてヘテロオリゴマー形成を高感度で検出することで、オリゴマー形成を担うDIXドメインのN末端に50残基伸びた領域にも構造変化が誘導されていることがわかった。現在、ヘテロオリゴマー形成にともなうAxinの構造変化の分析を可能にするために、Axinの酵素的ペプチド連結に用いる酵素の大腸菌発現系の調製条件の検討をおこなっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Axin-CK1複合体については、結晶化に成功したものの、析出した結晶形状がX線回折実験に適していなかったため、回折データを収集するまでには至っていない。また、当初予定したAxinの酵素合成については、必要とする酵素遺伝子の調達が遅れたために実験系の構築が予定よりも遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
Axin-CK1複合体の構造解析については、結晶化条件の最適化を進めて、回折データ収集を進め、構造解析を成功させる。Axinの酵素合成については、必要とする酵素が準備でき次第、順次合成方法の検討をすすめて、Axinの分子構造解析を進める。
|
Causes of Carryover |
Axinの酵素合成に必要とする酵素遺伝子の調達が遅れたことから、該当実験の実施を翌年度に繰り越したため。準備を進めて、当初計画の通りの内容を実施する。
|