2019 Fiscal Year Research-status Report
がんの発症と進展に寄与するシグナル分子の核移行メカニズムの構造基盤
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19K06511
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松浦 能行 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (10402413)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 核輸送 / X線結晶解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの発症と進展に寄与するシグナル伝達経路では、核膜孔を通したシグナル分子の選択的能動輸送(核移行)システムによって、シグナルが細胞核に伝わり、がんに関わるさまざまな遺伝子の発現を誘導することが多い。本研究では、今年度は多くの固形癌においてがんの悪性化に寄与している重要な転写因子のうちの一つに着目し、この転写因子の核移行にとって重要な領域と核移行受容体との複合体を大腸菌の発現系を用いて再構成した。結晶化条件のスクリーニングにより、複合体の結晶化に成功し、シンクロトロン放射光施設で高分解能X線回折データを収集した。1.8オングストローム分解能で結晶構造を解き、この転写因子の核移行シグナルを構成するアミノ酸残基を同定し、核移行受容体による核移行シグナル認識機構を原子レベルで詳細に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標であったX線結晶構造解析を高分解能で達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度構造解析に成功した転写因子・核移行受容体複合体について、変異体解析により、特に重要なアミノ酸残基を同定する。また、がんの発症と進展に寄与する他のタンパク質についても構造機能解析を進める。
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Causes of Carryover |
理由:当初想定したほど、物品などの購入に費用がかからなかったため。 使用計画:試薬・消耗品などに必要な額を使用する。
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