2021 Fiscal Year Research-status Report
がんの発症と進展に寄与するシグナル分子の核移行メカニズムの構造基盤
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19K06511
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
松浦 能行 国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (10402413)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | X線結晶解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くのがんにおいて、がんの原因の本質はゲノムの異常と考えられる。がん細胞において、ゲノムを正常細胞とは異なる状態に維持する機能を持つタンパク質について、その核移行シグナル内部のリン酸化によって核移行が制御されているとの作業仮説に基づき、その核移行制御機構の構造基盤をX線結晶解析で明らかにすることを試みた。リン酸化された核移行シグナルに相当するペプチドと核移行受容体の複合体結晶について、シンクロトロン放射光施設で収集した2.0オングストローム分解能のX線回折データセットを解析し、複合体の構造を解いた。フリー Rファクター19.9%まで結晶構造を精密化した。リン酸化されたアミノ酸残基が分子認識に及ぼす影響について示唆を与える結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がんの発症と進展に関わると考えられているタンパク質の構造機能相関の理解を深める成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
タンパク質構造機能相関の理解をさらに深めるための構造生物学研究を推進する。たとえば最近解いたリン酸化ペプチドと核移行受容体の複合体結晶構造について、リン酸化されていないペプチドと核移行受容体の複合体についても構造解析を行い、構造比較により、リン酸化がタンパク質の機能に影響する仕組みの理解を深める。
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Causes of Carryover |
当初想定したほど、物品などの購入に費用がかからなかったため。 使用計画:試薬・消耗品などに必要な額を使用する。
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