2020 Fiscal Year Research-status Report
シトクロムP450-還元酵素複合体の立体構造解析による電子移動機構解明
Project/Area Number |
19K06515
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
杉島 正一 久留米大学, 医学部, 准教授 (30379292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 秀明 久留米大学, 医学部, 准教授 (60271996)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 電子移動 / 酸化還元酵素 / X線小角散乱 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
シトクロムP450(P450)はステロイドの生合成等の脂質代謝や薬物代謝において、重要な役割を果たす酵素である。本研究では、P450の酵素反応に必要な還元力を供給するNADPH-シトクロムP450還元酵素(CPR)とP450の複合体の構造決定を行い、CPRからP450への電子移動機構を明らかにすることを目的としている。具体的には天然のCPRとP450の融合タンパク質であるP450BM-3に着目し、X線小角散乱およびX線結晶構造解析による立体構造決定を目指す。 課題開始前に我々はCPRから還元力を受け取る別の酵素であるヘムオキシゲナーゼ(HO)とCPRの複合体の構造解析に成功しており、その立体構造からCPRのダイナミックな構造変化を伴うHOへの電子移動機構を提唱した。この電子移動機構がP450への電子移動に対しても適用できるかどうか検証することも研究目的の一つである。 研究課題開始後、我々はP450BM-3の野生型、P450BM-3の還元酵素ドメイン内のループの一部分を切除した変異体、P450BM-3の還元酵素ドメインをCPR-HO複合体で構造解析に成功したドメインに差し替えたキメラ蛋白質についてX線小角散乱測定および多角度光散乱測定を行った。その結果、P450BM-3やループ切除変異体はホモダイマーであるが、キメラ蛋白質についてはモノマーであることを確認した。このことはダイマー形成に還元酵素ドメインが大きく寄与していることを示している。また、それぞれについての概形について情報が得られている。 これらの変異体について結晶化スクリーニングを行っているが、現在までのところ良質な結晶は得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試料調製後、X線小角散乱測定及びその解析にはある一定の目処が立っているが、結晶化成功には未だに至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き結晶化に取り組む。X線小角散乱を用いたモデル構築については、最近海外の研究グループが発表した架橋実験の結果も踏まえつつ、適宜進行する。また、クライオ電子顕微鏡による解析も視野に入れて検討をすすめる。
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Causes of Carryover |
コロナ関連対策として学会等の集会、共同研究者間の打ち合わせ、放射光実験などが全てオンラインとなっている関係で、旅費支出が減少していることが主な原因である。翌年度は実験進行を加速させることにより物品費として多く支出する。
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