2019 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアSMC複合体のDNA押出し機構に関与するサブユニットの構造機能解析
Project/Area Number |
19K06517
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鎌田 勝彦 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (70360526)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 構造生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
分裂期に染色体が現れるとき、無数のDNAループがひねり出されるというダイナミックなプロセスが存在する。その原型とも言える素反応は、バクテリアがその小さな染色体を分裂させる時にも起こっており、その中心的役割を担うのがSMCタンパク質複合体である。本研究では、この種の複合体に共通して見られる“ひも”状タンパク質の構造情報をもとに、DNAをホールドする部位を限定する。加えて、枯草菌の分子遺伝学を用いて、これまで注目されていなかったサブユニットの動的な役割を明確にする。 バクテリア型SMC複合体は、SMC二量体の他に、二種類の制御サブユニットScpAB2(ヘテロ三量体)によって構成される。ScpA単量体は、二つのSMCをつなぐ役目を担う。ScpAの中央領域に、14アミノ酸がランダムに挿入された変異体ライブラリを作製し、この挿入を機能的に許容できる枯草菌株をスクリーニングした。興味深いことに、得られた変異はScpAB2内の構造奥深く入り組んだ場所にも見つかった。この結果は、この複合体内で大きな変化が常にあることを強く示唆する。より長鎖のアミノ酸が挿入可能どうかを調査することで、ScpAB複合体の弛緩とDNA結合量の関係を調査可能である。 SMC複合体がDNAに結合した状態が、1分子であるか2分子であるかは未だ議論が分かれている。バクテリアでは2分子説が有力だが、未だ明確な結論が出ていない。SMCサブユニットと結合するScpAサブユニットのN末端部分は、ScpBの結合によって制御されるためこの領域を介して二量体を形成することが想定される。このN末端部分は、精製過程で二量体を形成し、この2量体サンプルを結晶化することができた。 このテーマは所内の移籍先の研究室では認められなかったので、科研費の中止を申請した。
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