2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K06530
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北原 亮 立命館大学, 薬学部, 教授 (70512284)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 概日時計 / シアノバクテリア / 圧力 / ATPase / NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
KaiA, KaiB, KaiCとATPからなるシアノバクテリアの生物時計について、KaiCのリン酸化サイクルの周期長が200気圧では約8時間短縮することを見出し、KaiCのATPase活性の増加と周期長の短縮が相関することを突き止めた(代表者らSci. Rep. 2019)。今年度、①超高磁場、高感度NMR装置を用いることにより、31P-NMRによりS431, T432のリン酸化状態の圧力依存性を観測すること、②200気圧以上におけるKaiCリン酸化サイクルの周期長とKaiC ATPase活性、リン酸化活性の測定を目的に研究を行った。①に関して、Synechococcus elongatus PCC 7942シアノバクテリアのKaiCを用いて31P-NMRの測定を試みたが感度が不十分でS431, T432の検出に至らなかった。年度途中より溶解度が高い好熱菌Thermosynechococcus elongatus由来のKaiA, KaiB, KaiCの作製に着手した。KaiA, KaiB, KaiCの溶解度を上げるために溶液条件についてもさらに検討を行った。②に関して、300気圧及び400気圧でリン酸化サイクルの周期長とATPase活性を測定した。加圧下の周期長とATPase活性に相関を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NMRを用いた研究計画について、大阪大学蛋白質研究所の高感度NMR装置を用いた測定が必須である。コロナ禍のため研究所を訪問し測定する機会が限られた。高感度NMR装置を用いても十分なNMR信号が検出できなかったことから、溶液条件の検討や好熱菌由来のタンパク質を用いるなど検討に時間を要した。既に好熱菌由来のKaiA, KaiB, KaiCの作製を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
NMRを用いる研究計画では、好熱菌由来のKaiA, KaiB, KaiCを用いることで高濃度のサンプルを準備する。高圧力NMRを用いた31Pのリン酸化直接検出に加え、KaiBのコンフォメーション平衡の研究を行う。また、様々な有機小分子がKaiCのリン酸化サイクルやKaiC-ATPase活性、リン酸化活性に影響を及ぼすことを見出した。圧力に関する研究成果、有機小分子に関する研究成果を発表する。また、圧力下での有機小分子の効果など、深海環境を模倣した条件での研究展開を行う。
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Research Products
(6 results)