2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K06530
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北原 亮 立命館大学, 薬学部, 教授 (70512284)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シアノバクテリア / 圧力 / 概日時計 / ATPase活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球上の生物は原核生物から哺乳類に至るまで、昼夜サイクルに合わせた概日時計を持ち、免疫系や自律神経系など様々な生命現象に関わっている。概日時計を備えている最も単純な生物として、シアノバクテリアが知られており、その概日時計はKaiA, KaiB, KaiCと呼ばれる3種類のタンパク質によって構成されている。概日時計の中心であるKaiCは自己リン酸化と自己脱リン酸化活性を持っており、KaiA, KaiBおよびATPと混合することで試験管内にて、概日振動をKaiCのリン酸化レベルとして観測することができる。概日時計は温度によって周期長が変化しない性質(温度補償性)を持つことが知られているが、圧力やpH、有機小分子に対する応答については知られていない。我々はシアノバクテリアの概日時計について、1気圧下で22時間である周期長が200気圧下で14時間まで短縮すること、ATPase活性が加圧によって上昇したことが要因であることを報告した(Kitahara et.al Sci.Rep. 2019)。また、ATPase活性は、体積収縮により、ATPや水分子、触媒残基が近接した時に反応が生じるという仮説を立てた。 今回、200気圧以上での概日周期やKaiC-ATPase活性の圧力応答を観測することに成功し、400気圧までは周期長とATPase活性の相関関係が保たれることを示した。またKaiCの短周期変異体であるKaiC-R393C、F470Yの圧力応答も観測し、周期長やATPaseの活性化体積の違いを解明した。短周期変異体では、野生型に比べ活性化体積の負の値が小さいことがわかった。短周期変異体では、1気圧での活性が野生型に比べ高いことから、もともとATPや水分子、触媒残基が近接し、小さな収縮で遷移状態に達すると考察した。
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Research Products
(3 results)