2020 Fiscal Year Research-status Report
がんエクソソームの分泌におけるワールブルグ効果の役割の解明
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19K06546
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Research Institution | Osaka International Cancer Institute |
Principal Investigator |
原田 陽一郎 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 糖鎖オンコロジー部主任研究員 (80464147)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アスパラギン結合型糖鎖修飾 / エクソソーム / がん / 糖代謝 / 非エクソソーム小胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞から分泌されるエクソソームは、がんの増殖や進展を促進する。本研究では、がん細胞における好気的解糖系(ワールブルグ効果)ががんエクソソームの分泌に及ぼす影響とそのメカニズムの解明を目的とした。 マウス悪性黒色腫B16-F10細胞を解糖系の阻害剤(2-deoxyglucose, 2-DG)で処理すると、エクソソームとは異なる新規の膜小胞(非エクソソーム小胞)の分泌が抑制された。2-DGによる非エクソソーム小胞の分泌抑制に関わるメカニズムを解析した結果、2-DGは解糖系の阻害ではなく、小胞体におけるタンパク質のアスパラギン結合型糖鎖修飾を阻害することで非エクソソーム小胞の分泌を抑制していることが明らかとなった。具体的には、細胞内に取り込まれた2-DGはGDP-2-DGに代謝され、アスパラギン結合型糖鎖の前駆体の合成に利用されることで非天然型の糖鎖前駆体が合成される。この異常な糖鎖前駆体は代表者が発見した糖鎖の品質管理機構によって分解され、アスパラギン結合型糖鎖修飾が抑制される。そして、この糖鎖修飾は、タンパク質の小胞への積み込みと小胞の形成の両方に関わることが示唆された。 さらに、プロテオミクスの手法を用いて非エクソソーム小胞の生化学的な特徴付けを行なった結果、アスパラギン結合型糖鎖修飾部位を持つ膜タンパク質が濃縮されており、エクソソームとは異なるタンパク質組成を有していた。また、リピドミクス解析の結果、非エクソソーム小胞にはホスファチジルセリンがわずかに濃縮されていることが分かった。 以上の研究実績をCell Reports誌 (Cell Rep. 33:108261, 2020) に報告し、関連プロトコルをSTAR Protocols誌 (STAR Protoc. 2:100316, 2021) に報告した。本研究の成果は、NHK関西ニュースおよび南日本新聞(鹿児島)に取り上げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
エクソソームとは異なる新規の膜小胞を同定するとともに、その分泌制御機構を明らかにし、国際学術誌に報告できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で解明された非エクソソーム小胞の分泌制御機構を活用し、担がんマウスモデルにおける非エクソソーム小胞の機能を解明する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Glycometabolic regulation of the biogenesis of small extracellular vesicles2020
Author(s)
Yoichiro Harada, Kazuki Nakajima, Takehiro Suzuki, Tomoko Fukushige, Kiyotaka Kondo, Junichi Seino, Yuki Ohkawa, Tadashi Suzuki, Hiromasa Inoue, Takuro Kanekura, Naoshi Dohmae, Naoyuki Taniguchi and Ikuro Maruyama
Organizer
Society for Glycobiology 2020 Virtual Annual Meeting
Int'l Joint Research / Invited
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