2019 Fiscal Year Research-status Report
疾患モデル動物を活用した凝集タンパク質の形成機構とその抑制因子の機能解析
Project/Area Number |
19K06552
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
伊原 伸治 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (70373272)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 疾患モデル生物 / 凝集タンパク質 / GPI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、異常な凝集タンパク質が小胞体内腔に蓄積する疾患モデル生物を用いて、凝集タンパク質の形成とその凝集を解きほぐす分子基盤を明らかにする。これまでにモデル生物である線虫C. elegansを用いて分泌タンパク質が小胞体内腔に特異的に蓄積するpigN変異体を樹立した。その原因遺伝子として糖脂質GPIアンカーの修飾酵素であるPIGNを同定した(Ihara, S. et al., J. Cell Sci., 2017)。ヒトpigN遺伝子の変異は、厚生労働省より指定難病320と定められており、精神遅滞や特異な顔貌などの様々な症状を示し、幼年期に死亡する事が報告されている。申請課題では、多彩な症状の一因と推定される凝集タンパク質の形成機構とその凝集を解きほぐす分子機構を明らかにすることを目的としている。 現在までにATP欠乏下で小胞体内腔で凝集タンパク質が形成するのかを明らかにするために、小胞体内腔のシャペロン分子、BiPタンパク質のATP結合部位、ATP分解部位、変性タンパク質への結合部位のアミノ酸配列に変異を導入したベクターを作製した。また2018年に報告された小胞体のATPトランスポーターAXER (ATP/ADP exchanger in the ER membrane, Marie-Christine, K., et al Nature com., 2018)の局在がpigN変異体で変動するのか、観察を行うためにAXER タンパク質の可視化を行った。さらにサプレッサースクリーニング(凝集タンパク質を抑制する遺伝子のスクリーニング)により凝集タンパク質を減少させる変異体spa-1~3変異体の責任遺伝子を同定した。特にspa-1変異体の原因遺伝子はジスルフィド結合を開裂する酵素活性をもつ小胞体ジスルフィド還元酵素であること明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、線虫C. elegansでBIPタンパク質の可視化、ATPトランスポーターAXERの可視化、サプレッサースクリーニングによって樹立した変異体の遺伝子の同定を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
可視化したBIPの各種変異体の局在の定量化、ATPトランスポーターAXERがpigN変異体での局在観察を行い、小胞体内宮へのATP流入機構及びATP流入が停止したときに小胞体内腔で凝集タンパク質が観察されるのかを明らかにする。 またサプレッサースクリーニングによって樹立した変異体の遺伝子の同定が終了したので、その原因遺伝子の可視化を行う。
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