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2022 Fiscal Year Research-status Report

低分子型硫黄化合物の作用機構

Research Project

Project/Area Number 19K06554
Research InstitutionTokyo University of Science, Yamaguchi

Principal Investigator

渋谷 典広  山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 准教授 (40466214)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2024-03-31
Keywords硫化水素 / 3MST / 神経膠芽腫 / フェロトーシス / 結合型硫黄
Outline of Annual Research Achievements

本年度は従来までのマウスを用いた解析から培養細胞を用いた解析を中心に検討を進めた。大腸がんや卵巣がんでは、硫化水素の産生酵素の1つであるシスタチオニンβシンターゼ(CBS)の発現が増加しており、CBS由来の硫化水素産生ががん細胞におけるエネルギー産生の亢進と増殖に寄与しているとの報告がある。一方、同じく硫化水素の産生酵素である3-メルカプトピルビン酸硫黄転移酵素(3MST)についてはがん細胞の増殖制御において不明点が多い。そこで、悪性度が高く予後不良の神経膠芽腫由来の細胞株を用いて3MSTによる硫化水素の産生ならびにその機能解析を進めた。異なる4種の神経膠芽腫細胞株を用いて結合型硫黄を測定したところ、いずれからも結合型硫黄が検出され、その存在量は3MSTの存在量と相関する傾向がみられた。仮に3MSTから産生される硫化水素ががん細胞の特性の1つである細胞死に対する抵抗性獲得に関与するのであれば、3MSTを欠損させることにより細胞死制御が変化するはずである。そこで、神経膠芽腫由来U-251MGを用いて3MST欠損型細胞を作成した。3MST欠損型細胞に対する鉄依存性細胞死フェロトーシスの誘導因子RSL3の影響を調べたところ、3MST欠損型細胞は野生型に比べてRSL3に対する抵抗性を獲得していた。この結果は、神経膠芽腫細胞では3MST由来の硫化水素が鉄依存性細胞死に対する抵抗性獲得において負に制御することを示唆している。正常細胞とは異なりがん細胞では自身の生存戦略の1つとして細胞死に対する抵抗を獲得しているが、3MST由来の硫化水素は神経膠芽腫における細胞死抵抗性の獲得を減弱化させている可能性がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ゲノム編集技術を取り入れることで従来までのマウスを用いた解析から細胞培養を用いた解析へと研究対象を広げている。がん細胞における硫化水素の新たな役割を示唆する結果が得られており、おおむね順調に進展していると判断している。

Strategy for Future Research Activity

現状では3MST欠損株の結合型硫黄含量の測定が不十分であることから、野生型および3MST欠損型の両者における結合型硫黄の定量解析を進める。鉄依存性細胞死フェロトーシスの誘導因子RSL3は過酸化物を消去するグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)の阻害剤であることから、3MST由来の硫化水素と神経膠芽腫における細胞死抵抗性の獲得に関するさらなる機能解明を目指し、GPX4の産生・調節を中心とした細胞死制御の解析を進める。

Causes of Carryover

当初計画ではマウス組織を用いて低分子硫黄化合物を解析することが主たる内容であったが、硫黄化合物に関する近年の研究動向は、より疾患との関わりならびにその治療法の開発を指向した内容に移行しつつある。この研究動向に沿い、かつ本課題「低分子硫黄化合物の作用機構」を解明するために、新規に神経膠芽腫由来の培養細胞を用いた研究方法を採用する必要性があった。3MST遺伝子の欠損細胞株を作成するまでに時間を要したが、すでにその解析には着手している。次年度において詳細な解析が必要性があるが、次年度使用額については、結合型硫黄の定量解析、GPX4の産生・調節を中心とした細胞死制御の解析に必要とされる消耗品に充当する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] The production of hydrogen sulfide in glioblastoma cell lines2022

    • Author(s)
      澁谷典広、佐藤彩湖、河津咲穂、伊藤凌大、木村英雄
    • Organizer
      第96回日本薬理学会年

URL: 

Published: 2023-12-25  

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