2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K06554
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
渋谷 典広 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 准教授 (40466214)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 硫化水素 / 膠芽腫 / フェロトーシス / RSL3 / 3MST |
Outline of Annual Research Achievements |
硫化水素(H2S)は、がん増殖因子として機能することが報告されており、悪性腫瘍の病態を解明するうえで新視点が得られると期待される。しかし、脳腫瘍におけるH2Sの働きは不明な点が多い。そこで予後不良の膠芽腫に着目し、その細胞株U-251MGを用いてH2Sの機能解明を試みた。H2Sの産生酵素としては、L-システインを基質とするCBS/ CSEに加えて、3-メルカプトピルビン酸 (3MP) を基質とする3-メルカプトピルビン酸硫黄転移酵素 (3MST) がある。3MSTによるH2S産生を調べるため、3MPを細胞抽出液に添加したところ、濃度依存的にH2Sが産生された。このH2S産生は、3MSTの選択的阻害剤I3MT-3で抑制された。3MPは、L-システインとα-ケトグルタル酸からCATによって供給されることから、CATの基質を添加したところ、H2Sが産生され、CATの競合的阻害剤L-アスパラギン酸の存在下で抑制された。CBS/CSEの基質であるL-システインのみを添加した場合よりも有意に高いH2S産生活性を示すことから、CAT-3MSTがU-251MGの主要なH2S産生酵素であると示唆された。この知見に基づき、3MST欠損型細胞を作成したところ、野生型よりもフェロトーシスの誘導因子RSL3に対する抵抗性を獲得しており、H2Sがフェロトーシス抵抗性において負に制御する可能性が示唆された。RSL3はGPX4の阻害剤であることから、その発現量を調べたが変化は認められなかった。GPX4以外にもフェロトーシス抵抗性因子として、FSP1、DHODH、GCH1の発現量変化を調べたが、いずれも変化は認められなかった。定常状態においてはフェロトーシス抵抗性因子の発現量に変化はないことから、フェロトーシス抵抗性の獲得に関する機能解明を目指してRSL3存在下における発現レベルを確認する必要がある。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Hydrogen sulfide and polysulfides induce GABA/glutamate/d-serine release, facilitate hippocampal LTP, and regulate behavioral hyperactivity2023
Author(s)
Hiroki Furuie, Yuka Kimura, Tatsuhiro Akaishi, Misa Yamada, Yoshiki Miyasaka, Akiyoshi Saitoh, Norihiro Shibuya, Akiko Watanabe, Naoki Kusunose, Tomoji Mashimo, Takeo Yoshikawa, Mitsuhiko Yamada, Kazuho Abe, Hideo Kimura
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 13
Pages: 17663
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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