2020 Fiscal Year Research-status Report
新規有用タンパク質のライブラリ構築と高速スクリーニング系の基盤確立
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19K06555
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
横田 亜紀子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (20415764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 尚宏 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (70415727)
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Project Period (FY) |
2020-02-01 – 2023-03-31
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Keywords | ドロップレット / 変異ライブラリ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、変異ライブラリと、ドロップレットを利用したスクリーニング系を組み合わせ、目的機能を有する有用タンパク質を迅速かつ簡便に探索する新しい手法の構築を目指す。今年度は、変異ライブラリの作製、無細胞発現系を用いた迅速なタンパクの発現とアッセイ、そして遺伝子組換え大腸菌のドロップレット封入、などに取り組んだ。 まずはモデル分子として、機能評価や変異効果の検出が比較的容易と考えられる蛍光タンパクをターゲットとして選定し、発現ベクターの設計・作製を行った。さらに、当研究室で以前より研究を進めており、配列特異的エンドリボヌクレアーゼとしての活性を有するMazFタンパクのうち、機能変換や安定性向上などの面から研究対象として興味深いと判断したMazFをピックアップし、その変異ライブラリの作製と無細胞発現系を用いた迅速なタンパク発現と機能評価を試みた。しかしながら、市販のキットを用いたランダム変異導入では、野生型クローンの割合が極めて高く、十分な大きさの変異プールの作製には至らなかった。一方、部位特異的変異導入法を用いてのMazF変異体の発現プラスミドの作製は成功し、無細胞発現系にてタンパクの発現を試みたところ、その後のアッセイに十分な純度・量のタンパクも取得でき、多数の変異体の機能評価にも成功した。なお、今回はタンパク発現の反応場としてマイクロチューブを使用したが、今後は、ドロップレット内でのタンパク発現にも挑戦していきたい。そして、変異ライブラリのスクリーニングに向けた予備実験として、モデル分子である蛍光タンパク質をコードする遺伝子で形質転換した大腸菌を作製し、w/oエマルションへの封入と、その中での培養を行ったところ、いずれも良好な結果が得られた。ドロップ内での蛍光の観察も可能であったことから、次年度以降、組換え大腸菌のドロップレットを用いたスクリーニングに進む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の進捗に遅れが生じた大きな理由として、特に年度初めにおいて、コロナ禍による出勤制限が続き、研究開始が大幅に遅くなったことが挙げられる。 その他の理由としては、キットを用いたランダム変異を実施したが、予想以上に変異導入効率が悪く、変異ライブラリの作製が滞ったことなども研究の進捗のマイナス要因となった。 その一方で、無細胞発現系を用いたタンパク発現と、それにより取得したタンパクの活性評価や、タンパク組換え大腸菌のドロップレット封入とその観察など、今後の研究に必要不可欠となる要素技術については、着実に積み重ねることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は進展が滞ってしまった変異ライブラリの作製について、実験条件の見直しや他の変異導入用キット等の導入などを積極的に実施し、最優先事項として取り組んでいく予定である。そして、それに続く、タンパクの発現とその機能評価について、より多数の検体に対して迅速にハンドリングできる手法を検討する。また、蛍光タンパク質をコードした遺伝子組換え大腸菌のドロップレットへの封入と、ドロップ内での蛍光の観察には成功したことから、次の段階として、蛍光強度の違い等によるスクリーニング作業に着手し、モデル系での着実なシステム構築を進める。 なお、今年度はコロナ禍のため、業務時間の確保が難しく研究の進捗に影響が出たことから、その遅れを取り戻すべく、来年度は補助員の雇用なども視野に入れ、研究のスピードアップを図っていきたい。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナ禍のため、年度初めに出勤制限が続いたこともあり研究開始時期が大幅に遅くなったこと、また、予定よりもデスクワークが多くなり実験器具・試薬の購入が少なかったこと、さらに、学会等もオンライン開催となり、出張費用がかからなかったこと、などの理由により、次年度使用額が生じた。 次年度の使用計画としては、今年度の遅れを取り戻すべく、人件費を充実させ、補助員を雇用して研究のスピードアップを図りたいと考えている。
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Research Products
(1 results)