2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K06559
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小池 誠一 富山大学, 学術研究部工学系, 特命助教 (10431686)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | テザリング因子 / SNARE / Vps13 / Rab14 / マイクロインジェクション |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに、リサイクリングエンドソームに存在する新規テザリング因子の候補分子として「Vps13B」を得た。そこで、一年目である昨年度(2019年度)はVps13Bが本当にテザリング因子として機能するのかを調べた。 まず、Vps13Bの局在を調べたところ、これまでに報告されていたゴルジ体に加えて、リサイクリングエンドソームのマーカーであるRab14と高い割合で共局在を示した。更に、syntaxin6とsyntaxin13を再構成したリポソームを細胞内にマイクロインジェクションを用いて導入すると、それらはリサイクリングエンドソームへと特異的にターゲッティングされるが、Vps13Bノックダウン細胞ではそれが抑制されること、またそのノックダウン細胞では、細胞外から取り込まれたトランスフェリンの輸送が遅延することを明らかにした。これらの結果から、Vps13Bはリサイクリングエンドソームに局在し、リサイクリング経路に関わる小胞を特異的に受け入れるために必要なテザリング因子であることを明らかにすることができた。Vps13はVps13A-Dの4つの相同性が高いタンパク質からなるファミリーを形成しており、それぞれが異なった機能を持っていることが知られている。そこで本年度は、Vps13B以外のVps13ファミリータンパク質もテザリング因子として機能しているのかを調べた。まず、進化生物学手法を用いて、大規模遺伝子情報を用いることによって、生物種間でVps13ファミリーがどのように分化してきたのか明らかにするために系統樹を作成した。また、一連のVps13B領域欠損発現コンストラクトを作成し、膜結合に必要な領域、syntaxin6との結合領域を同定した。またこれと並行して後期エンドソームにおける新規テザリング因子の同定も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大規模遺伝子情報を用いた系統樹作成から、Vps13AとVps13Cは保存性が高く、重複遺伝子であることが分かった。これに対し、Vps13Bはこのファミリーの中で、最も保存性が低いことが分かった。Vps13Bの領域を削っていったところ、Vps13B はN末端とC末端の2箇所でRab14タンパク質と結合することを明らかにした。またSNAREタンパク質と結合する領域を同定した。本研究のもう一つの目的であった後期エンドソームにおける新規テザリング因子の同定も試みた。これまでに行った後期エンドソームに局在するSNAREタンパク質に結合するタンパク質の網羅的スクリーニング実験の結果得られたもののうちから、実際に後期エンドソームに局在しているものを候補タンパク質として絞り込んだ。予定では、本年度中に同定まで漕ぎ着け、その機能解析を行う予定であったが、そこまで至ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子解析データを用いてVps13B SNARE結合ドメインが他のタンパク質にも保存されているのかを明らかにする。また、Vps13B以外のVps13タンパク質でそのSNARE結合ドメインが保存されているのかを明らかにする。もし保存性が高ければ、実際にどんなSNAREタンパク質と結合するのかを免疫沈降実験によって明らかにする。これらのデータをまとめて論文にまとめる。また、後期エンドソームにおける新規テザリング候補因子の同定を進め、後期エンドソームでもSNARE依存的にターゲッティングを決めることができるテザリング因子が存在するか明らかにする。
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Causes of Carryover |
<未使用額が生じた理由>コロナの影響もあり、実験が思うように行えない期間があり、そのために予定していた研究を行えなかったために、使いきれなかった予算が生じた。また共同研究者との打ち合わせをオンラインで行ったため、出張費がほとんどかからなかった。その分を今年度に繰り越す必要が生じた。 <使用計画>今年度進展が遅かった新規後期エンドソームにおけるテザリング因子の同定実験を集中的に進展させるために必要な試薬や抗体を購入するために用いる。
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