2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K06559
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小池 誠一 富山大学, 学術研究部工学系, 特命助教 (10431686)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | VPS13B / テザリング因子 / リサイクリングエンドソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに、リサイクリングエンドソームに存在する新規テザリング因子として「Vps13B」を得た。これまでにVps13Bがすでに報告されていたゴルジ体に加えて、リ サイクリングエンドソームのマーカーであるRab14と高い割合で共局在を示した。更に、syntaxin6とsyntaxin13を再構成したリポソームを細胞内にマイクロイン ジェクションを用いて導入すると、それらはリサイクリングエンドソームへと特異的にターゲッティングされるが、Vps13Bノックダウン細胞ではそれが抑制され ること、またそのノックダウン細胞では、細胞外から取り込まれたトランスフェリンの輸送が遅延することを明らかにした。これらの結果から、Vps13Bはリサイクリングエンドソームに局在し、細胞外から取り込んだ物質のリサイクリングに関わる小胞を特異的に受け入れるために必要なテザリング因子であることを明らかにすることができた。更にVps13B以外のVps13ファミリータンパク質(VPS13A,VPS13C, VPS13D)もテザリング因子として機能しているのかを調べた。まず、進化生物学手法を用いて、大規模遺伝子情報を用いて、生物種間でVps13ファミリーがどのように分化してきたのか明らかにするために系統樹を作成した。また、一連のVps13B領域欠損発現コンストラクトを作成し、膜結合に必要な領域とsyntaxinとの結合領域を同定した。その結果、syntaxinとの結合部位はVPS13B以外では保存されていないことが分かった。 またこれと並行して後期エンドソームにおける新規テザリング因子の同定も行っ た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VPS13BのSNARE結合ドメイン決定実験と、大規模遺伝子情報を用いた系統樹作成から、Vps13Bで見られたテザリング機能はおそらく他のVPS13ファミリー分子では保存されていないことを明らかにすることができた。また、これまでの研究成果をまとめたレビューを発行することができた。本研究のもう一つの目的であった後期エンドソームにおける新規テザリング因子の同定も行った。これまでに得られた後期エンドソームに局在するSNAREタンパク質に結合するタンパク質の網羅的スクリーニング実験から得られたもののうちから、実際に後期エンドソー ムに局在しているものを候補タンパク質として絞り込み、機能解析を推進することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であるため、これまでに得られたデータをまとめて学会や論文として発表する。また、後期エンドソームにおける新規テザリング候補因子の同定を進め、後期エンドソームでもSNARE依存的にターゲッティングを決めることができるテザリング因子が存在するか明らかにする。
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Causes of Carryover |
<未使用額が生じた理由>コロナの影響もあり、実験が思うように行えない期間があり、そのために予定していた研究を行えなかったために、使いきれなかった予算が生じた。また共同研究者との打ち合わせをオンラインで行ったため、出張費がほとんどかからなかった。その分を今年度に繰り越す必要が生じた。 <使用計画>効率的に研究を推進するために、実験補助員を一名雇う。研究成果を発表するための学会発表、論文投稿費に多くの予算を割く予定である。
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