2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of a mechanism that protects lipid from oxidative stress in ciliated cells
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19K06560
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
篠原 恭介 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20527387)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 繊毛 / 微小管 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020度はTppp遺伝子ノックアウトマウスの特徴付けを行った。これまでに観察された気管繊毛細胞内に脂肪滴が貯まる異常の再現性が得られた。さらに透過型電子顕微鏡による観察から細胞内に粘液顆粒を持つ繊毛細胞が多数観察されるという異常を新たに見出した。また、これまでにうまく進んでいなかった細胞内の微小管構造の観察を引き続き行った。生きた細胞内で微小管を可視化できる蛍光プローブSiR-tubulinを用いて野生型マウスとTpppノックアウトマウスの気管繊毛細胞における微小管構造の可視化を試みた。結果、野生型マウスの気管細胞では細胞内部表層において微小管の枝分かれしたネットワーク構造が観察されたのに対し、Tpppノックアウトマウスでは明確な枝分かれ構造は消失し細胞内の一部に微小管の塊が観察された。Tpppは気管繊毛細胞において細胞内の微小管構造を形成する役割を担っている事が示唆された。 気管繊毛細胞内部に通常では見られない構造が高頻度でみられる事からTppp遺伝子ノックアウトマウスの表現型は繊毛細胞の前駆細胞である粘液分泌細胞から繊毛細胞へ分化する時に何らかの異常が生じている可能性がある。最終年度にこの事を検証するため、今年度はマウス気管の生体外培養技術の確認とシングルセルRNAseq解析のための準備技術の確認を行った。マウス気管上皮細胞にコラーゲン分解構造を処理しピンセットで単層の気管上皮シートを剥がす事に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Tppp遺伝子と微小管構造の形成の関係性は明確になったが、当初に予定していた微小管とは関係しない機能についての解析が遅れている。気管繊毛細胞は分泌細胞から分化すると考えられているため、繊毛細胞内に脂肪滴と粘液が高頻度で検出される表現型は繊毛細胞の分化の異常であるとみられる。この異常がTppp遺伝子が持つ微小管以外の機能に由来するのか、微小管の形成異常に由来するのか明確にするための実験を次年度初めに行い、最終年度の方針を決める。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に観察された気管繊毛細胞内部の形態異常が分化の異常であるかを裏付けるデータを取る。野生型マウス気管の繊毛細胞とTppp遺伝子ノックアウトマウス気管の繊毛細胞についてシングルセルRNAseqを実施し細胞の性質の確認を行う。また、繊毛細胞の前駆細胞であるクラブ細胞の分子マーカー(Mucin5AC, Scgb1a1)の免疫染色により繊毛細胞の成熟化について検証する。さらに微小管構造の異常と細胞内形態の異常の2つの事象が関連しているか調べる。微小管重合阻害剤をマウス気管に処理し生体外で培養する。培養後に上記の未成熟な細胞の分子マーカーと成熟した繊毛細胞の分子マーカーについて免疫染色を行い、微小管の形成異常が気管細胞の成熟化と細胞内構造に与える影響を明確にする。もしこれまで観察されている異常が微小管の形成異常とは関係が無いと判明した場合には、当初の予定通りの還元化酵素PrdxとTppp3の相互作用の基軸で解析を進める。
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Causes of Carryover |
Tppp遺伝子の微小管に関連しない機能の解析が当初の計画よりも遅れたため次年度使用額が生じた。この使用額と翌年度の請求した助成金とあわせて、シングルセルRNAseqの実施と分化異常の有無を検証するための実験に用いる実験動物マウス購入費および飼育費用として執行する計画である。
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