2019 Fiscal Year Research-status Report
究極の酵母タンパク質発現ライブラリーを用いたイネ膜輸送体の網羅的機能解析法の開発
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19K06565
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
秋廣 高志 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (40508941)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 輸送体 / トランスポーター / イネ完全長cDNA / 完全長cDNAライブラリー |
Outline of Annual Research Achievements |
約1500種類のイネの膜輸送体遺伝子を発現するライブラリーの構築を行った。これまでは、W303-1a株を宿主としてライブラリーの構築を行ってきたが、宿主を突然変異株にすることで、スクリーニングの精度が高まるものと考え、酵母の膜輸送体が欠損した約300株の酵母を選抜した。これらの突然変異体酵母の中から、ある特定の化合物および元素に耐性、もしくは感受性を示すものを探索した。元素ではセシウム、化合物では、除草剤およびリボフラビンの輸送体を探索した。その結果、除草剤耐性遺伝子に感受性を示す酵母を選抜することに成功した。現在は、その輸送体の欠損変異体を作出し、除草剤の吸収活性を測定する準備を進めている。続いて、ICP-MSを用いてイオンの取り込みが変化した酵母のスクリーニングを行った。その結果、セシウムの輸送量が増加する輸送体を単離することに成功した。この輸送体を発現する酵母は、セシウムを含む培地で強い感受性を示した。この輸送体のシロイヌナズナのホモログが欠損したT-DNAタグラインの解析を行ったところ、セシウムに超感受性を示す結果となった。そこで、この輸送体に点突然変異を導入して、シロイヌナズナで発現させたところ、セシウムに耐性を示すことが明らかとなった。現在は、この輸送体の分子レベルでのセシウム輸送制御機構について調べている。リボフラビンを合成できない突然変異酵母に約1500種類の輸送体遺伝子を導入し、リボフラビンの乏しい培地でスクリーニングを行ったところ、複数の輸送体遺伝子を単離することに成功した。現在は、実験の再現性を確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GC-MSを用いたスクリーニングの条件検討を行う予定になっていたが、ICP-MSを用いたスクリーニングと表現型によるスクリーニングによって、候補となる遺伝子が複数見つかったため、そちらを優先的に研究していたため、条件検討が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さまざまな培地を用いて酵母を培養し、元素および代謝物の測定を行い、元素および代謝物量が大きく変動しない条件を明らかにする。決定した条件でライブラリーのスクリーニング(約1500遺伝子)を行い、目的とする酵母を選抜する。これまでに、セシウムの輸送体とリボフラビン輸送体の候補遺伝子の選抜に成功している。セシウム輸送体候補遺伝子を発現する酵母は、セシウムを含む培地で、極めて生育が悪くなる。リボフラビン輸送体の候補遺伝子をリボフラビンを合成できない酵母に導入すると、2㎎/Lのリボフラビンを含む培地で生育が可能となった。これらの輸送体のイネおよびシロイヌナズナにおける機能を変異体を用いて明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
ICP-MSおよびGC-MSにつかうガスの量が計画よりも少なかったために、次年度使用額が生じた。
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