2020 Fiscal Year Research-status Report
The mechanism of action of collagen-derived oligopeptides on cell differentiation and proliferation
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19K06569
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
錦見 昭彦 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, バイオセーフティ管理・研究室, 室長 (70404019)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ペプチド / 水酸化プロリン / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
コラーゲンなどの細胞外マトリックスが消化、分解されたときに生ずる水酸化プロリン(Hyp)をもつジペプチドやトリペプチドが、細胞の分化や増殖に対して生理活性を持つことが明らかになっている。本研究では、その作用機序を解明することを目的として、これら単鎖ペプチドと相互作用するペプチドを単離、同定し、細胞レベルでの効果を検討することを計画している。本年度は、研究計画書に記載した項目のうち、コラーゲン分解産物(コラーゲンペプチド)のひとつであるプロリン-水酸化プロリン(Pro-Hyp)と相互作用するタンパクの網羅的解析を続け、新たにS1PRを同定し、その活性制御の解明に関して研究を行った。Pro-Hypを結合した磁気ビーズと細胞可溶化液を混合し、Pro-Hypに会合するタンパクを精製する方法により得られたタンパクを電気泳動し、銀染色した。精製されたタンパクのバンドを切り出し、LC-MS/MSを用いたプロテオミクス解析により、S1PRを同定した。S1PRの活性に対するPro-Hypの影響について、培養細胞において、Pro-Hypもしくは対照オリゴペプチド存在、非存在下でS1PRのリガンドで刺激したところ、Pro-Hyp存在下でのみ、下流のシグナル伝達因子のリン酸化が亢進することが示された。以上のことから、コラーゲンペプチドは、S1PRの活性制御を介して細胞の増殖や分化を制御していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究にあたって開発した方法を用いて、Pro-Hypと会合する分子を新たに見出した。この分子について、細胞レベルでもコラーゲン由来のオリゴペプチドがシグナル伝達に対して効果を示すことが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019度同定したJAK、あるいは、2020度同定したS1PRを介した現象について、細胞レベルでのPro-Hypの効果を検証する。また、Pro-Hyp以外のコラーゲン由来のオリゴペプチドについて、同様の効果が見られるかどうか検討する。
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Causes of Carryover |
2020度の研究は、既に所有している機器や消耗品で対応することができたため、次年度使用額が生じた。2021年度はin vivoの実験など新たな実験も予定しており、これらの遂行に充当する予定である。
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