2019 Fiscal Year Research-status Report
原子間力顕微鏡と化学発光タンパク質を用いたATP超解像イメージング法の開発
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19K06580
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
市川 壮彦 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 特任助教 (10462201)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 超解像顕微鏡 / ATP / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
原子間力顕微鏡(AFM)を用いたATP超解像顕微鏡作製のために、以下の項目を達成した。(1)共焦点・AFM融合顕微鏡の設計、(2)Nano-Lantern (ATP1)の精製、(3)探針先端へのタンパク質の結合方法開発、(4)ミトコンドリアの単離。(1)に関して、共焦点レーザー顕微鏡(Eclipse Ti2 C+, ニコン)に組み込むための自作AFMの設計を行った。細胞培養用の35 mmディッシュが使用可能で倒立顕微鏡で観察可能なAFM用サンプルステージを設計した。ステージの移動はステッピングモーター型を試したが、うまく動作しないことが分かったので手動テコ式に変更した。(2)に関して、Nano-Lantern (ATP1)のプラスミドをAddgeneから入手、発現ベクターに挿入した後、大腸菌に形質転換してタンパク質を発現、His-tagアフィニティカラムを用いてタンパク質を精製した結果、約350 mgのNano-Lantern (ATP1)タンパク質を得た。(3)に関して、探針にアミノ基を付加しマレイミド-ニトリロ三酢酸(NTA)を付加する方法、金コート後チオール-NTAを結合する方法、ビオチン化ウシ血清アルブミンを用いる方法等を試したが、最終的に集積イオンビーム装置を用いて探針先端に弱い電子ビームを照射する方法が最も簡便でかつ局所的にタンパク質を結合できることが分かった。(4)に関して、ミトコンドリア単離キット(Mitochondria Isolation Kit for Cultured Cells. Thermo Scientific)を用いてHeLa細胞からミトコンドリアを単離、膜電位を測定することによって活性を持ったミトコンドリアを単離することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標である、(1)共焦点・AFM融合顕微鏡構築、(2)Nano-Lantern (ATP1)の精製、(3)探針先端へのタンパク質の結合方法開発、(4)ミトコンドリアの単離のうち(2),(3),(4)を昨年度で達成し、(1)に関してもおおよそ半分程度達成することができた。あとは設計に従って部品の調達、組み立て、制御系の構築を行うことによって顕微鏡の完成を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は共焦点・AFM融合顕微鏡作製を引き続き行い、ATP超解像顕微鏡を完成させる。ATP勾配が確実に形成される装置(水流の中に少しずつATP溶液を注入する装置)を3Dプリンタで作製しそれを用いてATP超解像顕微鏡の性能評価を行う。その後、電子ビーム法を用いて精製したNano-Lantern (ATP1)を探針先端付近に付加し精製したミトコンドリア表面のAFMトポグラフィー観察とATP微小局在分を測定する。それにより、ミトコンドリア表面に存在する電位依存性アニオンチャネル(VDAC)のクラスタ、ATP分布、がん細胞の悪性度の関係性を明らかにし、がん化におけるVDACの機能を明らかにする。さらに、Nano-Lantern (ATP1)の代りに他のFRETバイオセンサーを用いることによってカルシウムイオン、活性型低分子量Gタンパクの超解像局在を検出する顕微鏡を開発していく。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は 異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進め ていく。
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Research Products
(1 results)