2022 Fiscal Year Annual Research Report
Structural analyses of reaction states of ion-pumping rhodopsin
Project/Area Number |
19K06582
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神山 勉 名古屋大学, 理学研究科, 名誉教授 (30170210)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 邦夫 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 准教授 (90223297)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | レチナール蛋白質 / 光駆動プロトンポンプ / 光駆動塩素イオンポンプ |
Outline of Annual Research Achievements |
イオン輸送を担う微生物型ロドプシンの光反応においては、100 Hz程度のサイクル反応がタンパク質内で完結している。これらのイオン輸送性ロドプシンでは、光反応によって全トランス型のレチナール色素が13-cis型に変換され、反応サイクルの最終段階で、再び全トランス型へと再生される異性化(熱的反応)がおこる。昨年度までの分光学的研究から、複数のイオン輸送性ロドプシンにおいて、この再生反応過程で現れる青色状態(O中間体)には二つのサブ状態(O1、O2と命名)が存在することが見出され、O1→O2転移でレチナールの異性化が起こることが示唆された。光駆動プロトンポンプであるバクテリオロドプシン(BR)においては、レチナールの異性化を伴う暗順応が酸性pHでは非常に速くなることが観測されていることから、「中性pHのプロトン輸送サイクルにおいてもO中間体の生成に伴いレチナール色素の周りの環境が酸性pHでのものと同様になり、C13=C15結合の周りの捩じれエネルギー障壁が下がる。」という可能性が考えられる。この可能性を検証するため、今年度においては、pHジャンプに伴うBRの吸収変化を測定するためのストップド・フロー装置を製作し、酸性pH域でのBRの状態変化を詳しく調べた。その結果、(1)酸性転移(紫色状態から青色状態への転移)が2段階で起こること、(2)速い転移の速度(室温で~50ミリ秒)がpHに依存しないのに対して、遅い転移の速度(1~1000秒)がpHに強く依存すること、(3)紫色状態から青色状態への完全な変換は特別な条件でのみ起こり、広い酸性pH領域で紫膜中の一部(約1/3)のBRは青色状態に変換されず紫色状態に留まること(負の協同現象)、(4)酸性pH域では13-シス型BRに比べて全トランス型BRがより安定となり、その吸収極大波長は625nmまで赤方シフトすること、が明らかになった。
|