2020 Fiscal Year Research-status Report
光制御型転写因子を用いた光情報の変換と伝達機構の解明
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19K06586
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久冨 修 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (60231544)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光情報変換 / bZIP型転写因子 / LOVドメイン / オーレオクローム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、代表者らが開発した光制御型転写因子(光ジッパータンパク質、略称PZ)の解析を通じて、LOVドメインによる光情報の変換と伝達の過程を明らかにすることを目的とするもので ある。代表者らは光ジッパータンパク質の光情報変換機構を解明するために、LOVドメインに様々な部位特異的変異を導入し、熱安定性、光反応、二量体化、DNA結合性の解析を進めてきた。 2020年度は、LOVドメインのβシートに存在する疎水性アミノ酸を置換したPZ変異体(βシート変異体)と、LOVコアとA'αヘリックスの間のヒンジ領域のアミノ酸を置換したPZ変異体(ヒンジ変異体)を、動的光散乱(DLS)、サイズ排除クロマ トグラフィー(SEC)、ゲルシフトアッセイ(EMSA)、水晶振動子微小天秤(QCM)法などにより定量的に解析した。ヒンジ領域のアミノ酸置換はPZの性質に大きな影響を与えなかったことに対し、βシート変異体では二量体化やDNA結合性が有意に変化した。このことは、LOVコアからの情報伝達はβシートの疎水性アミノ酸を経由していることを示唆している。そこで、A'αヘリックスの疎水性アミノ酸残基を置換した変異体(A'α変異体)を作成して解析した結果、βシート変異体と同様に二量体化やDNA結合性の変化が見られた。これらの実験結果から、FMNが受容した光情報は、LOVコアのβシートの疎水性アミノ酸を経由してA'αヘリックスの解離を誘導するというオーレオクロームの機能のメカニズム が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者らが取り組んできた、動的光散乱、サイズ排除クロマトグラフィー、ゲルシフトアッセイ、水晶振動子微小天秤法などのシステムを用いて、部位特異的変異体を定量的に解析した。その結果、LOVコアからの光情報伝達がβシートに存在する疎水性アミノ酸残基に依存することが示された。多くのLOVドメインでは、βシートに疎水製アミノ酸が存在していることは、この情報伝達機構に共通性があることを示唆している。このように、LOVドメインの基本的な機能メカニズムを示唆することができたことから、本年度は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度と今年度の研究により、フラビンモノヌクレオチド(FMN)が受容した光情報は、FMN近傍に配置するF298およびQ317を経由してLOVコアのβシートの疎水性領域の変形を誘導し、A'αヘリックスをLOVコアから遊離させることが示された。このことは、明状態で光ジッパーの二量体が安定化して特異配列への結合性が増大することをうまく説明する。 そこで、2021年度は別の生物が持つオーレオクロームでも同様な情報伝達経路を持つのかを調べることで、この反応がオーレオクロームに共通するのを検証する。また、大腸菌の酸素センサータンパク質(EcAer)においても同様な反応が生じるのかを解析して、この反応がLOVタンパク質に共通した反応なのかを明らかにしたい。これらのことにより、生体物質による光情報の受容と伝達の機構を明示したい。また、basic領域の塩基配列特異的な水素結合に関与するアルギニン(R139)、および var der Waals 相互作用に関与するアミノ酸などを置換して、転写因子複合体の結合・bZIP因子の解離速度定数のそれぞれに影響を与えるアミノ酸残基を同定していく。
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Research Products
(8 results)