2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K06591
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| Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
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Principal Investigator |
山本 条太郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (20585088)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 液-液相分離 / 動態計測 / 光計測 / 蛍光計測 / 回転拡散 / 並進拡散 / 蛍光相関分光法 / 高分子混雑 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本提案研究は、液体としてのタンパク質の動態を明らかにする計測手法を開発し、またその応用として抗体医薬品を高効率で濃縮する際のタンパク質動態を明らかにすることを目的とするものである。これを達成するために、偏光蛍光相関分光法（Pol-FCS）と、動的光散乱法（DLS）計測を同時に実現する装置を開発し、液-液相分離（LLPS）状態のタンパク質の動態を評価する手法の確立を目指す。
当該年度では、前年度までに構築した装置の更なる感度向上とDLS計測の実現を目指し、改良装置の設計を再度行い、新しいPol-FCSの構築に成功した。前年度までは倒立型顕微鏡筐体に独自開発した光学系を接続してPol-FCS装置としていたが、新規開発した装置は全て独自開発の光学系となった。これによってPol-FCSの検出感度は2倍程度向上した。一方で、DLS計測については感度が未だ不足している。
Pol-FCSを用いて、高濃度の高分子溶液中や生きた細胞内の分子の回転拡散と並進拡散を比較することで、微環境の評価が可能であることを示し、国内学会において1件の発表を行い、また1報の論文にまとめて投稿した。
LLPSはこれまで機構が良く分かっていなかったタンパク質の局在や、膜の無い細胞内小器官（核小体、中心体）の形成、可逆性のタンパク質凝集体などを良く説明可能であり、相分離生物学という新しい学問領域にもなっている。これほどまでに注目されているにも関わらず、LLPS研究の現状は、細胞内におけるLLPSの探索・発見が主であり、細胞内液滴・タンパク質液滴自体の動態に関しては未だ研究が進んでいない。この問題は主に、液中に浮遊する微小な液滴中で分子動態を計測することの困難さにあると考えられる。本研究はLLPS研究の進展にするものと期待できる。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では、新規に改良型の偏光蛍光相関分光（Pol-FCS）装置を構築しなおし、動的光散乱（DLS）測定も同時に行うことが可能な新規装置の開発を目標とした。これによってPol-FCS計測は前年度に比べて2倍程度の感度向上を達成した。DLS計測についてはまだ感度が不足しており、改良が必要となる。
高濃度溶液試料や生きた細胞内でのPol-FCS測定から、Pol-FCSによる微環境測定の可能性を示し、また細胞の種類や細胞周期によって微環境が変化する可能性を発見し、1報の論文にまとめ、投稿中である。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず構築した新規装置における動的光散乱（DLS）の測定感度を光学系の微調整または部品交換によって向上させる。Pol-FCS計測と同時にDLS測定を行うことが困難であった場合、Pol-FCS測定のみによって研究を進める。また、液-液相分離させた試料の調整を行い、実際に液-液相分離中の分子の拡散動態が解析可能であることを実証する。
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