2021 Fiscal Year Annual Research Report
目的生物由来微量タンパク質に対する新規協同的構造変化解析法の確立と展開
Project/Area Number |
19K06604
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Research Institution | Suntory Foundation for Life Sciences |
Principal Investigator |
山本 竜也 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・統合生体分子機能研究部, 研究員 (70437573)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 質量分析 / タンパク質の動的構造 / HD交換 / ソフトウェア開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質構造やその変化は機能と密接な関係にあるが、活性を含む定量的なデータを十分に説明できていない。主な理由は、現在の構造解析が本来とは異なる生物を使った大量発現系を用いていること、それに付随した翻訳後修飾情報の喪失、溶液構造解析可能な対象が少ないこと、複数タンパク質の一斉解析が困難であることなどである。それらを克服するため、申請者は微量かつローカルな構造変化を捉えることができる質量分析法とH/D交換(HDX)を使った新しい切り口による手法開発を続けてきた。 大きな構造変化が活性に大きく寄与することが分かっているAdenylate kinase1(AK1)の精製試料を使ってHDXクラスター解析を用いた実験を開始した。本年度は5つの生物種由来のAK1(ヒト、ニワトリ、アフリカツメガエル、ホヤ、大腸菌)のHDX実験を抽出により取得できる量のタンパク質量で行うことで、様々な生物種由来の酵素について構造学的な共通性と相違性について検出可能かどうかを調べた。結果は結晶構造や予測構造からは推定できない活性中心から離れたループ領域に交換されない領域が存在し、それはすべての生物種由来のAK1で共通していることが新たに分かった。逆に強い構造を持つと相応されるN末端βシート領域では種によって交換の程度が異なることもわかった。 並行して実験結果を基に新しい解析手法であるHDXクラスター解析の解析ソフトの一般化と高度化(高速化、自動化、新アルゴリズム実装)を進めた。これにより12残基長のフラグメントに存在するHDXクラスター解析において、数週間かかっていた計算時間を数分にまで短縮できるアルゴリズムを作成し実装することに成功した。
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Research Products
(1 results)