2020 Fiscal Year Research-status Report
Studying the molecular mechanism of replisome disassembly in mitosis
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19K06617
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
橋本 吉民 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (50616761)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レプリソーム / 複製フォーク / 核膜崩壊 / CDK / Wee1/Myt1 / Mre11 / アフリカツメガエル卵無細胞系 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA複製装置であるレプリソームは、細胞周期の間期においては複製終了時や複製ストレスによるフォーク崩壊時にクロマチンDNAから脱離する。近年、複製終了時におけるレプリソーム脱離機構の詳細が明らかにされたのに対して、フォーク崩壊時の脱離機構についてはよく分かっていない。代表者はこれまでの研究において、アフリカツメガエル卵無細胞系を用いて、複製再開可能な状態で停止したフォークが分裂期への誘導によりレプリソームを失うことを見出し、分裂期レプリソーム脱離機構と名付けて、その分子機構の解明に取り組んできた。 昨年度の研究において、分裂期誘導と同時にフォーク停止を解除した場合、DNA複製の再開が起きること、さらにそれによって核膜崩壊の遅延が起きるという新しい現象を見出したため、本年度の前半は、その分子機構の解析を行った。その結果、停止したフォークが再開可能かどうかについては、核膜の存在が鍵を握っており、核膜崩壊前では再開可能、崩壊後には再開不可能となることが分かった。複製再開させた場合に起きる核膜崩壊の遅延には、Wee1/Myt1キナーゼによるM期CDK活性の一時的な抑制が関与することを明らかにした。これらの成果について論文発表を行った。 本年度の後半は、分裂期レプリソーム脱離におけるMre11ヌクレアーゼの関与について解析を行った。Mre11はDNA二本鎖切断末端のプロセシングに必要なヌクレアーゼである。Mre11阻害剤であるMirinは、複製阻害時には分裂期への進行とレプリソーム脱離を阻害したが、複製終了時に分裂期への進行を阻害しなかったことから、Mre11は停止したフォークのプロセシングを介して分裂期への進行を制御しているという新たな可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、分裂期レプリソーム脱離機構について、ユビキチンリガーゼとヌクレアーゼの役割を明らかにすることが目標であった。ユビキチンリガーゼについては、海外のグループによって同定・報告されたため、主にヌクレアーゼ(Mre11)の関与について調べた。Mre11阻害剤が複製完了時には分裂期進行を阻害せず、複製ストレス下において分裂期進行を抑制するという確実なデータが得られた。また、Mre11および協調的に働くCtIPについて、卵無細胞系から免疫除去できる抗体の作製が完了しており、これらを用いてさらなる分子機構の詳細の解明が期待できる。 前年度に見出した複製再開による核膜崩壊の遅延に関しては、さらに詳細な解析を行い、研究成果について論文発表を行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
分裂期レプリソーム脱離機構の解明が本来の課題であり、Mre11ヌクレアーゼの関与を明らかにしたが、現状ではレプリソーム脱離過程そのものに直接的に必要なのか、複製ストレス下での分裂期への進行に必要であり、レプリソーム脱離には間接的に関与するだけなのか区別できていない。また、ヌクレアーゼ活性が停止フォークを標的としているのかどうかも直接的な証拠がない。今後、これらの点を明らかにして論文として発表する予定である。 核膜崩壊の遅延現象については、成果を取りまとめる中で新たな疑問や課題が生じており、これらについても取り組む予定である。特に、複製再開によりWee1/Myt1活性が何故高く維持されるのかという点を明らかにするため、Wee1やMyt1に対する抗体を作製し、複製状態の変化によるキナーゼ活性の変化について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度前半は、コロナウイルスによる緊急事態宣言により、研究室への出勤日数が制限を受けたため、実験が計画通りには進まなかった。本研究計画では、抗体作製に多くの費用を支出予定であったが、抗体作製は、抗原調整、動物への複数回の抗原免疫、抗体価の上昇チェック、場合によっては追加免疫と数ヶ月の期間を要するため、前半の遅れにより、年度内での作製に間に合わないと判断せざるを得ない場合が数件あった。これらを次年度へ持ち越すことにしたため、次年度使用額が生じた。遅れて抗体作製を行う予定である。
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Research Products
(1 results)