2019 Fiscal Year Research-status Report
Identification of the whole set of the constitutive promoters in Escherichia coli
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19K06618
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
島田 友裕 明治大学, 農学部, 専任講師 (10535230)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゲノム転写制御 / Genomic SELEX / gSELEX / RNAポリメラーゼ / RpoN / NtrC / Constitutive promoter |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子発現の本質を理解するためには、RNAポリメラーゼホロ酵素が単独で認識できるプロモーター(Constitutive promoter)と、認識に何らかの補助因子が必要なプロモーター(Inducible promoter)を区別して、ゲノム上のプロモーターを同定する必要がある。本研究は生物が遺伝子を利用する仕組みを理解するために、大腸菌をモデル生物とし、Constitutive promoterの同定が可能なGenomic SELEX法(gSELEX法)を用いて、大腸菌の全7種類のシグマ因子のConstitutive promoterの決定を目指して実施されている。特に転写の開始に補助因子が必要なシグマ因子RpoNについて重点的に解析を進めている。 今年度はgSELEX解析の実施に向けて、RNAポリメラーゼのコア酵素の精製、および、RpoNの補助因子であるNtrCの精製を行った。次に、RNAポリメラーゼコア酵素とRpoNを混合し、得られたRpoNホロ酵素についてgSELEX解析を実施した。また、同条件下に転写因子NtrCを混合した条件におけるRpoNホロ酵素、および、NtrC単独条件についてもgSELEX解析を実施した。得られたゲノムDNA断片をタイリングアレイを用いて解析し、ゲノム上の標的配列の網羅的な同定を試みた。その結果、RpoNホロ酵素およびNtrCにおいてそれぞれの既知標的プロモーターを含むゲノム上の結合領域を網羅的に同定する事に成功した。また、NtrC存在下におけるRpoNホロ酵素の結合は、RpoNホロ酵素単独条件下では検出されなかった標的が同定された。この標的は、NtrCの存在によってRpoNホロ酵素が認識できるプロモーターを示唆している。現在はその詳細な分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析対象であるRNAポリメラーゼのコア酵素とRpoNおよびNtrCの精製に成功した。また、RpoNホロ酵素、NtrC、およびその混合条件下のRpoNホロ酵素に対してSELEX-chip解析を行い、ゲノム上の結合領域の同定を行った。その結果、RpoNホロ酵素およびNtrCにおいてそれぞれの既知標的プロモーターを含むゲノム上の結合領域を網羅的に同定する事に成功した。また、NtrC存在下におけるRpoNホロ酵素の結合は、RpoNホロ酵素単独条件下では検出されなかった標的が同定された。この結果は、NtrCの存在によってRpoNホロ酵素が認識できるプロモーターの同定に成功したことを示唆している。そのため、研究が順調に進行していると判断した。 現在はその詳細な解析を進めており、RpoNホロ酵素のConstitutive promoterおよびNtrCによるInducible promoterのリストの作成を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きSELEX-chipの実験結果の詳細な解析を進める。まずは、RpoNホロ酵素のConstitutive promoterおよびNtrCの標的プロモーターのリストを完成させる。さらに既知プロモーターと新規プロモーターを区別し、新たに同定される制御ネットワークの役割について考察していく。また、これまでのin vivo解析で同定されてきたプロモーターと今回新たに同定されたプロモーターを比較し、RpoNのConstitutive promoterとInducible promoterのリストを完成させる。また、ゲルシフトアッセイを用いて、各プロモーターに対するRpoNホロ酵素およびNtrCの結合能を確認する。次に、細胞内における動的なゲノム転写制御機構についても解析を進めていく。RpoNは窒素飢餓応答に関与するシグマ因子であるため、窒素飢餓条件下における影響を観察する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度に成果発表を予定していた学会出張が、新型コロナウィルスの影響により取り消しとなったことが大きな要因となった。
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Research Products
(3 results)