2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of the whole set of the constitutive promoters in Escherichia coli
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19K06618
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
島田 友裕 明治大学, 農学部, 専任准教授 (10535230)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゲノム転写制御 / Genomic SELEX / gSELEX / RNAポリメラーゼ / RpoN / NtrC / Constitutive promoter |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸菌をモデル生物とし、Genomic SELEX法(gSELEX法)を用いて、転写の開始に補助因子が必要な窒素飢餓応答シグマ因子RpoNおよびその補助因子NtrCのゲノム転写制御解析を進めている。 当該年度は前年度に実施したgSELEX法によるゲノム上結合領域の同定結果をもとに、RpoNホロ酵素および転写因子NtrCの標的プロモーターのリスト化および機能解析を行った。その結果、ゲノム上のRpoNの標的転写単位数は約50個、NtrCの標的数は約40個であること、また、NtrC依存性のRpoN標的転写単位数は約10個であることが示唆された。続いて、gSELEXで同定されたNtrC依存性RpoNプロモーター配列を解析したところ、-12領域にTGC、-24領域にTGGの配列が保存されていることがわかった。過去に同定されていたRpoN認識プロモーターの知見と比較したところ、NtrC依存性RpoNプロモーターは-12領域のTGCの保存性が低く、この性質がNtrCにより補助されていることが示唆された。次に、NtrC依存性RpoNプロモーターの制御の検証を行った。はじめに、gSELEX法により新規に同定されたNtrC依存性RpoNプロモーター10個について、ゲルシフトアッセイを用いて、RpoNホロ酵素およびNtrCの親和性を個別に検証した。その結果、いずれの標的プロモーターにおいても、NtrC存在下でRpoNホロ酵素の結合が上昇することが確認された。現在は、新規標的遺伝子群の発現に与えるRpoNおよびNtrCの影響を検証するために、RT-qPCR法を用いて、大腸菌野生株、rpoN欠損株、ntrC欠損株における窒素飢餓時の新規標的遺伝子群のmRNAレベルの変化を観察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
gSELEX解析により、RpoNホロ酵素単独、NtrC単独、およびNtrC存在下RpoNホロ酵素のゲノム上結合領域の同定に成功した。この解析結果をもとに、RpoNホロ酵素のConstitutive promoterおよびNtrCによるInducible promoterのリストを作成したことにより、標的遺伝子群の全体像が判明した。またそれらの結果から、RpoNホロ酵素、NtrC、およびNtrC依存性RpoNホロ酵素の標的配列の同定に成功し、gSELEX法によりRpoNホロ酵素およびNtrCの制御の全体像の同定に成功したことが支持された。また、ゲルシフトアッセイを用いた個別標的プロモーターへの結合解析結果もgSELEX解析結果と一致するものであり、より一層支持する結果が得られた。また、細胞内における転写制御への影響を観察するための条件検討も概ね完了しており、次年度の細胞内解析に向けての準備が整った。そのため、研究が順調に進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
RpoNは窒素飢餓応答に関与するシグマ因子であるため、窒素飢餓条件下の細胞内における遺伝子発現への影響を観察することで、RpoNおよびNtrCの制御を実証する。そのために、RT-qPCR法やノーザンブロッティング法を用いて、大腸菌野生株、rpoN欠損株、ntrC欠損株における窒素飢餓時の新規標的遺伝子群のmRNAレベルの変化を観察する。最終的にはこれまでの結果を統合し、RpoNおよびNtrCのゲノム転写制御の全体像を提案する。特に、制御が実証された遺伝子群の機能から、RpoNおよびNtrCの新規な役割を提案する。本研究成果を公表するために、原著論文の作成も開始する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、実験計画の一部に遅延が生じたため。次年度で実施予定である。
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Research Products
(5 results)