2019 Fiscal Year Research-status Report
RNAとクロマチンの相互作用を網羅的に検出する系を応用した新生鎖RNAの解析
Project/Area Number |
19K06623
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
加藤 雅紀 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (10625437)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ノンコーディングRNA / 新生鎖RNA / 転写 / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトでは約28,000種のノンコーディングRNA (ncRNA)が存在するが、ほとんどの機能は明らかになっていない。いくつかのものではncRNAがクロマチンに結合することで高次クロマチン構造が作り出される例が知られている。本研究ではRNAとクロマチンの相互作用を網羅的に検出する系を構築し、染色体高次構造に重要な役割をもつlncRNAを探索する。またその系の応用版として、RNAとクロマチンの相互作用を網羅的に検出する系を応用した新生鎖RNAの機能解析を行う。抗pol II抗体を用いエンハンサーRNAとプロモーターの相互作用の検出や、新生鎖RNAとクロマチンの相互作用を検出する系の開発を行う。本年度では予備研究で行なっていたRNAとクロマチンの相互作用を網羅的に検出する系(RADICL-seq)法のプロトコールの最適化を行なった。これまで使用していたマウスES細胞のみならず、マウス繊維芽細胞(iMEF), ショウジョウバエS2細胞、ヒト乳腺がん由来細胞(MCF7)を用いてRADICL-seqライブラリーを作製した。それぞれの細胞種におけるDNase Iによるゲノム断片化や使用細胞数の条件検討を行なった。RADICL-seq法で得られたRNAとクロマチンの相互作用が生理学的に正しいか評価するためにこれまでクロマチンとの相互作用が報告されているlncRNAであるroX1, roX2, Xist, MALAT1, NEAT1に注目しパブリックに入手できるChIRP-seq, CHART-seq, RAP法のいずれかのデータとの比較を行なったところ非常に高い相関性がみられた。また応用系の開発としてRADICL-seq法と特定の抗体による濃縮を組み合わせることによって、特定の領域を高感度で検出する系の開発に着手した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RADICL-seq 法のプロトコールはほぼ完成したと思われるため
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度はRADICL-seq 法のプロトコールの最適化を行うと共に応用系の開発としてRADICL-seq法と特定の抗体による濃縮を組み合わせることによって、特定の領域を高感度で検出する系の開発に着手した。新生鎖RNAとその相互作用するクロマチンを効率よく濃縮するために抗RNA pol II抗体を用い、ショウジョウバエS2細胞のRADICL-seqライブラリーの途中産物から抗体pull downを行なったが収量面でもっと改善する必要性がみられた。次年度以降、使用する細胞数、抗体の最選定、ライブラリー調整の方法の検討を行う。またこれまで作製したライブラリーから得られたデータを詳細に解析することにより、生理学的に重要なRNAとクロマチンの相互作用の抽出、特にエンハンサー-プロモーターの相互作用に注目し解析する。
|
Causes of Carryover |
次世代シーケンサーの解析が予定していた数より少なくなったため。
|