2021 Fiscal Year Annual Research Report
強力な直接遺伝学を駆使して微生物走性システムの全貌を見る
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19K06627
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井原 邦夫 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 准教授 (90223297)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高度好塩性古細菌 / ゲノム解析 / UV変異 / ゲノム多様性 / 化学変異原 / 光回復 / ゲノムシーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
R3年度は、高度好塩性好アルカリ性古細菌 Natronomonas を用いて、UV照射実験による変異導入実験を行い、約1,000株のゲノムシーケンスを行った。UV照射に伴う Natronomonasの生存率はこれまでの報告と同様にUV線量(mJ/cm2)に対して指数関数的に減少し、100万分の1に死滅するUV照射条件においても、導入された変異(ここでは一塩基置換;SNVと1塩基程度の挿入・欠失;Indelを変異とした)はゲノムあたり平均 0.73 程度であった。ただし、自然変異には稀な、大規模欠損(最大60kbp)を起こす株が数株見つかり、その中にはファージ様領域の欠失も含まれていた。 今回の実験では、ストックセンターから購入して凍結しておいたJCM8858T株を使用して実験を行ったが、再度シングルコロニー単離を行わず使用した実験群(暗条件)において、UV照射を行っていない場合でも、ゲノムあたり平均 0.15程度のゲノム多様性が見られた。これらの多様性は変異の位置によって32のクラスターに分けることができた。実験開始の段階でシングルコロニーを単離した実験群では、この初期の多様性は、ほぼ 0に近づくことが推定されるので、おそらくストックセンターの株は、ゲノムレベルではかなりの多様性を持った混合体(それでも、同一の種ではある)として考える必要があることがわかった。 わかりやすい表現系変化として色の変化(赤いコロニーが白くなる)から4株が得られ、すべてバクテリオルベリン合成系に関わる遺伝子に変異が入っていることがわかった。単純はであるが、変異導入量の評価として白色コロニーの出現割合は、簡単な目安になる。 さらに、化学変異原(EMS、過酸化水素水など)を使用した変異導入も試み、ゲノムシーケンスを行っているところであるが、白色の出現率はUV照射実験と大きく変わらないので、同様な変異導入であると予想している。
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Research Products
(11 results)