2021 Fiscal Year Research-status Report
複雑な形質の遺伝的背景の解明に向けた多因子的なゲノム情報処理技術の開発
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19K06629
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中谷 明弘 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任教授 (60301149)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 電子顕微鏡 / 画像処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋の電子顕微鏡画像からミトコンドリアの空間的な形状と分布を数値的な特徴量として抽出する手法の開発を進めた。心筋の典型的な電子顕微鏡画像内では複数のミトコンドリアの断面が筋原繊維をはじめとする周辺組織と共に観測される。ミトコンドリアの膜構造(内膜と外膜)やそれらが構成する襞状のクリステといった内部構造も視認することができる。ミトコンドリアおよび周辺組織は電子顕微鏡画像ごとにさまざまな形状や分布となって観測され、同一の電子顕微鏡画像内でも部分領域ごとに異なった形状や分布となっている。それらの形状や分布の状況の一部は疾患との関係も示唆されている。心筋の電子顕微鏡画像は空間的に非均一かつ連続的に変化する性質をもつため、疾患に関連する形質として標準的か否かという情報のみでは十分にその特性を表現することができない。電子顕微鏡画像からの手作業での情報抽出では網羅性と客観性に限界がある。そこで、閉曲線や矩形を形状のマーカーとしてミトコンドリアの断面や筋原繊維の帯状構造をはじめとする特徴的な形状パタンを部分領域ごとに自動的に検出して集計することによって電子顕微鏡画像内の形状的な特性を数値的に評価する手法の開発を進めた。また、電子顕微鏡画像内でミトコンドリアや筋原繊維の形状パタンを半自動でサンプリングしてラベル付けした情報をデータベース化する機能の開発を進めた。蓄積した形状パタンを参照データとして電子顕微鏡画像内のアノテーションを行う仕組みの開発を進めている。心筋の電子顕微鏡画像に共通の形状パタンに関するデータベースの整備を進めると共に、特定の検体に特異的な形状パタンを抽出して評価できる手法の開発を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)をはじめとして、画像処理(分類や物体検出)のための多くの手法が開発されている。その多くは既にラベル付けされた共通の公開ベンチマーク用データセットを用いていることが多い。しかしながら、心筋の電子顕微鏡画像に関するデータセットは十分には整備されていないため、ミトコンドリアや筋原繊維に関する整形されたアノテーション付きデータセットの準備がさまざまな解析手法の開発のために必須となっている。また、さまざまな対象物を標的として作成した手法を別の標的に適用できるように改変することも可能であるが(転移学習)、その際にも心筋の電子顕微鏡画像中でのミトコンドリアや筋原繊維に関するデータセットが必要である。これまでに文献中の図として公開されている電子顕微鏡画像および共同研究者による非公開データを対象として、電子顕微鏡画像中から選択した領域を矩形として切り抜き、画像中での位置情報と指定したラベル情報と共に半自動で参照データとして蓄積するツールを開発した。Python言語を用いて開発を進めている(GUIと画像処理のツールキットとしてTkinterおよびOpenCVを使用している)。蓄積した参照データセットを用いた電子顕微鏡画像内から形状と分布に関する特徴量を抽出する手法の開発を行っている。抽出した特徴量と参照データセット内での分布の全体像との関係が把握できるような手法の開発を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
心筋の電子顕微鏡画像内のミトコンドリアと筋原繊維および周辺組織を対象としたアノテーション付きデータセットの選別と整形を進めて参照用データセットとして整備を進める。また、電子顕微鏡画像内を網羅的にスキャンしながらミトコンドリアおよび周辺組織の空間的な形状と分布を数値的な特徴量として抽出する手法の高速化を進める。参照用データセットの検索と可視化のためのインタフェースの開発を進め、電子顕微鏡画像内から抽出した形状と分布に関する特徴量とリンクできる仕組みを開発する。
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Causes of Carryover |
社会情勢による制約のために予定していた旅費等が当初の計画通りに執行できなかったため、当該の経費によって追加の研究開発を行うこととした。参照用データセットと画像解析ソフトウェアの高度化と連携を実現する環境の整備を行う。
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[Journal Article] Long-term prognosis and genetic background of cardiomyopathy in 223 pediatric mitochondrial disease patients2021
Author(s)
Imai-Okazaki A, Matsunaga A, Yatsuka Y, Nitta K R, Kishita Y, Sugiura A, Sugiyama Y, Fushimi T, Shimura M, Ichimoto K, Tajika M, Ogawa-Tominaga M, Ebihara T, Matsuhashi T, Tsuruoka T, Kohda M, Hirata T, Harashima H, Nojiri S, Takeda A, Nakaya A, Kogaki S, Sakata Y, Ohtake A, Murayama K, Okazaki Y
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Journal Title
International Journal of Cardiology
Volume: 341
Pages: 48~55
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Cyclosporine A Treatment of Proteinuria in a New Case of MAFB-Associated Glomerulopathy without Extrarenal Involvement: A Case Report2021
Author(s)
Kaimori J-Y, Mori T, Namba-Hamano T, Morimoto T, Takuwa A, Motooka D, Okazaki A, Kobayashi K, Asahina Y, Kajimoto S, Doi Y, Oka T, Sakaguchi Y, Nakaya A, Isaka Y
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Journal Title
Nephron
Volume: 145
Pages: 445~450
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Cooperation of LIM domain‐binding 2 (LDB2) with EGR in the pathogenesis of schizophrenia2021
Author(s)
Ohnishi T, Kiyama Y, Arima-Yoshida F, Kadota M, Ichikawa T, Yamada K, Watanabe A, Ohba H, Tanaka K, Nakaya A, Horiuchi Y, Iwayama Y, Toyoshima M, Ogawa I, Shimamoto-Mitsuyama C, Maekawa M, Balan S, Arai M, Miyashita M, Toriumi K, Nozaki Y, Kurokawa R, Suzuki K, Yoshikawa A, Toyota T, Hosoya T, Okuno H, … ,Yoshikawa T
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Journal Title
EMBO Molecular Medicine
Volume: 13
Pages: e12574
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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