2020 Fiscal Year Research-status Report
CRISPR/Cas9システムを用いた新規組換え修復亢進因子の探索
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19K06631
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
加藤 朋子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 研究員 (10638802)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HDR亢進因子 / NHEJ抑制因子 / スクリーニング / CRISPR/Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにDNA修復経路であるHDRとNHEJの活性について蛍光を指標に測定できるTraffic Light Reporter(TLR)をヒト白血球由来K562細胞に導入した細胞(K562-TLR)を樹立し、さらにTet発現誘導Cas9及びgRNAをNucleofectionにより導入した細胞を作成していた。昨年度はこの細胞集団の中から、doxycyclinの添加前後で各蛍光陽性細胞(GFPが HDR活性の指標、mCherryが NHEJ活性の指標となる)が大きく変化する細胞を得るため、1細胞クローニングを行った。鋳型GFPドナーを導入して各蛍光陽性細胞数を測定する方法で評価を行ったところ、doxycyclin応答性の高い細胞を作成することができた。この細胞を実際のスクリーニング実験に用いることとし、HEK293T細胞由来cDNAレンチウイルスライブラリを鋳型GFPドナーと共導入を行った。FACSソーティングにより各蛍光陽性細胞を分取し、それぞれの細胞からゲノムDNAを抽出して、そのゲノムDNAを鋳型にレンチウイルスベクター由来のプライマーで増幅を行った。得られたPCR産物は次世代シークエンス解析用のライブラリ作成に用いた。次世代シークエンス解析の結果、それぞれの細胞集団において、いくつかのヒト遺伝子と対応していることを確認した。今後はさらにサンプル数を確保するため、同じ実験を繰り返し、数回の実験で同様にヒットした遺伝子について詳細な解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一昨年の12月より産休・育休を取得し、4月より復職する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大防止策の一環として緊急事態宣言が発出され、復職が7月に延びてしまい、希望した時期に復職することが叶わなくなり、実験のセットアップに遅れが生じた。さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響で、必要な試薬や消耗品の購入から納品までに想像以上の時間を要した。また、レンチウイルスベクター由来のプライマーで特異的な配列を増幅させる際のPCR条件の確定に時間がかかり、その後の実験スケジュールに遅れが生じた。しかし、現在は実験に必要な機器や消耗品は既に揃っているので、問題なく研究を継続できる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニング実験を繰り返し、複数回の実験を通じて候補として挙がってきた因子をHDR亢進候補因子として、さらにそれらの機能について私たちの研究室で独自に開発されたデジタルPCRの系で1塩基置換などの正確な編集の向上に寄与するかを検討していく。HDRが優位に働くことが期待されるCas9D10Aについても細胞株を作成し、同様の検討を行う。また現在鋳型GFPドナーはプラスミドで検討しているが、ssDNAドナーも作成し、異なるドナーでスクリーニング結果が異なるか否かについても検討していきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスなどの対応で計画が遅れたため、未使用額が生じた。スクリーニングのための、高額な次世代シーケンサー関連の試薬、またHDR亢進因子の機能を検討するための高額なデジタルPCRの試薬に計上する必要があり、次年度に使用する予定である。
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