2020 Fiscal Year Annual Research Report
酵母液胞におけるオートファジーによるタンパク質分解の全貌を解明するための研究
Project/Area Number |
19K06634
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
及川 優 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 研究員 (30569215)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オートファジー / 出芽酵母 / タンパク質分解 / 質量分析 / ペプチドーム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に設定した研究の推進方策(4点)のうち、新型コロナウィルスの蔓延に伴う緊急事態宣言などの影響から以下の2点に焦点を絞り研究を進めた 。(1)時間軸に沿った分解動態の解明:オートファジー誘導後のタンパク質分解動態を精査する。(2)異なるオートファジー誘導条件の比較:ラパマイシン処理など、窒素源飢餓以外の方法で誘導されるオートファジーで分解されるタンパク質に違いがあるのかを検討する。 (1)について:タンパク質の分解様相の変化をオートファジー誘導後 1 hから詳細に解析したところ、1-2 hという比較的早い段階から分解されるタンパク質があった一方で、ある程度時間が経過した後に分解が検出されるタンパク質なども確認でき、タンパク質の種類によって「分解されるタイミング」が異なっていることが明らかとなった。また、個々のタンパク質の分解様相に着目すると、分解開始からある程度の時間まで分解量が増加した後に分解が終了するタンパク質がある一方で、解析期間中は継続して分解が認められるタンパク質もあり、こちらもタンパク質ごとに異なる挙動を示していることが明らかとなった。(2)について:窒素源飢餓、またはラパマイシン処理で誘導されるオートファジーによって分解されるタンパク質の違いを比較したところ、大部分は同様の分解様相を示した一方で、窒素源飢餓のみで特異的に分解が認められるタンパク質の同定に成功した。これらの結果は、オートファジーの誘導条件の違いによって分解を受けるタンパク質の種類が異なることを示している。本研究課題では、オートファジーによって分解されるタンパク質を同定する解析手法を構築したとともに、細胞内のタンパク質分解がどのように推移しているのかを理解するための礎を築くことにつながった。コロナ禍の影響は大きかったものの、当初設定した目標の基本的な部分は達成できたと考えている。
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