2019 Fiscal Year Research-status Report
哺乳類生殖細胞における減数分裂開始時のクロマチン高次構造変換メカニズムの解明
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19K06642
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高田 幸 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (40392013)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 哺乳類 / 減数分裂 / コヒーシン タンパク質 / インスレータータンパク質 / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、哺乳類における体細胞系列から生殖細胞系列への核内クロマチン高次構造のスイッチング機構の解明を目的とする。 まず減数分裂型インスレーターおよびコヒーシンタンパク質に焦点を当て、当該年度は生殖細胞核内における結合領域をゲノムワイドに同定するため、ChIP-seqを行うことを第一目的とした。目的とする細胞集団はごく一部で数も少ないため、高効率なサンプル回収が難しいため、この領域の研究は遅々として進んでいない。そこで、本研究ではこのボトルネックの改善のために、インスレータータンパク質およびコヒーシンタンパク質の遺伝子座へGFPレポーターと3XFLAG-HAタグを導入し、ノックインマウスを作製した。さらに、これらノックインマウスへのレチノイン酸合成阻害剤及びレチノイン酸の投与により減数分裂遷移期の細胞をある程度同調させることで、量的に少ないマテリアルからの効率良い回収を試みた。まずはレチノイン酸投与後のタンパク質の発現開始もしくは発現ピークを免疫染色により詳細に検討し、(1)コヒーシンタンパク質はレチノイン酸投与後9日に発現開始、(2)インスレータータンパク質はレチノイン酸投与後7日で発現ピークを示すことを確認した。そのタイムポイントごとに各ノックインマウスから目的のステージの細胞をサンプリングし、抗HA抗体を用いてChIPを行い、現在は次世代シークエンサーにによるシークエンスを行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度においてChIP-seqを行う予定であったが、目的細胞があまりにも少ないため、サンプリングに予想以上に時間がかかってしまい、第一回のNGS解析完了までを当該年度中に終了させることができなかった。令和2年度スタート時には、すでにIP-MS用のサンプリングも完了しているため、現在はChIP-seqとIP-MS解析を同時進行させているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
ChIP-seqおよびIP-MSの結果をカップリングさせ、減数分裂期特異的なインスレータータンパク質、および減数分裂期特異的な2種類のコヒーシンタンパク質それぞれに特徴的な機能を与える因子、この三者をリンクさせるような因子、もしくはクロマチンドメイン形成に寄与する可能性のある因子を網羅的に同定する。さらに、これらの候補因子から特に減数分裂期に特異的発現を示す因子に絞って、受精卵ゲノム編集を用いてノックアウトマウスを作製する。ノックアウトマウスの表現型解析も含めてクロマチン構造への違いなどを比較し、網羅的な解析を行う。
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