2020 Fiscal Year Research-status Report
リソソーム分泌の共通原理とオルガネラ輸送に普遍的なメカニズムの解明
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19K06646
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
後藤 奈緒美 (松元奈緒美) 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (80403971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 真弓 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (20270506)
關谷 瑞樹 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (70509033)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | V-ATPase / リソソーム / 分泌 / 破骨細胞 / Rab7 / オルガネラ輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
破骨細胞が骨吸収する際には、リソソームが形質膜へ向かって移動して膜融合する「分泌リソソーム」が欠かせない。私たちは、プロトンポンプとして知られているV-ATPaseの「a3」アイソフォームが、リソソームの輸送スイッチであるRab7をリソソームへリクルートすること、つまり、V-ATPaseはプロトンポンプとオルガネラ輸送という二つの役割をもつことを明らかにしている。2020年度は、a3欠損破骨細胞に他のアイソフォーム(a1,a2)を発現させる相補実験を行うことで、a3の働きに重要な性質について検討した。発現量、aアイソフォームの局在、Rab7との結合、Rab7のリソソームへのリクルート、骨吸収活性を評価したところ、a1はa2よりもリソソームに局在するが、Rab7との結合量が少なかった。a2はごく一部しかリソソームに局在しなかったが、Rab7との結合量はa1よりも多かった。a1とa2はa3の4分の1程度しか発現していなかったが、一部のRab7をリソソームへリクルートし、形質膜近傍へ輸送されるリソソームもあった。しかし、骨吸収活性は、a3と比較してa1が10%、a2が0.5%程度であり、形質膜に運ばれたV-ATPaseの量を反映していた。これらのことから、リソソームの輸送にはRab7をリクルートできるだけの量と結合力があればよいが、骨吸収活性には酸性化を担うためのV-ATPaseとして十分な量が必要であることがわかった。 また、分泌リソソーム輸送の全容解明を目指し、昨年度同定したa3と結合する因子について解析した。a3および結合因子それぞれの結合領域を明らかにし、この結合因子存在下ではa3とRab7の結合が強くなることもわかった。a3はこの結合因子を介してRab7と結合している可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
破骨細胞におけるリソソームの輸送にa3が特異的に寄与する理由を明らかにし、論文として発表することができた。また、a3とRab7の結合に関与する新たな因子を同定することが2020年度の目標であったが、それも達成できた。これらのことから、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
a3と結合する新たな因子について、この因子のリソソームへの局在にa3が必要なのか調べる。また、この因子の発現を抑制した破骨細胞においてリソソームの局在を調べることで、リソソームの輸送に関与する因子なのかを検討する。
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Causes of Carryover |
2020年度に岩手医科大学を退職し、岩手を離れることにしたため、2021年度はこれまでの研究室に研究員としてしつつ、研究費で研究補助員を雇用し、実験を進めてもらう計画にした。そこで、謝金分として次年度に繰り越すことにした。
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Research Products
(7 results)