2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K06656
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平山 尚志郎 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (80548280)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | タンパク質品質管理機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではこれまで、プロテアソーム機能低下時にユビキチン化タンパク質が核から細胞質に運び出される現象を発見している。さらに、ユビキチン化タンパク質の核からの運び出しの分子機構を明らかにし、生理的意義に迫ることを研究目的としている。 2020年度では、どのようなタンパク質がC6orf106の核外搬出の基質となっているか、2019年度に引き続き探索した。プロテアソーム阻害剤有り無し条件下で、C6orf106の免疫沈降を行い、C6orf106の免疫共沈降サンプルを、質量分析器を用いて解析した。その結果C6orf106は、リボソーム、翻訳伸長因子など翻訳途上の複合体とよく結合していることが明らかとなった。このことから、翻訳途上もしくは翻訳後速やかにユビキチン化を受けプロテアソームによって分解されているタンパク質が、C6orf106の基質ではないかと考えた。 スプライシング異常をきたしたmRNAは、未成熟終止コドンを持ち、その翻訳産物は共翻訳的にユビキチン化をうけ、プロテアソームにより分解されることが知られている。そこで、スプライシング異常mRNAの翻訳産物もC6orf106の基質と成り得るのではないかと考え、C6orf106のノックダウンと共にスプライシング因子のノックダウンを行なった。すると、C6orf106のノックダウンのみでは、核にユビキチン化タンパク質の蓄積が観察されるだけだったが、スプライシング因子を共にノックダウンすると、核へのユビキチン化タンパク質の蓄積が増え、核小体にユビキチン陽性の凝集体を形成するようになった。以上の結果から、一部の新規合成タンパク質やスプライシング異常mRNA由来の翻訳産物がC6orf106の基質となっていることが新たに判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
C6orf106が核から細胞質に運び出すユビキチン化タンパク質の中には、スプライシング異常mRNA由来の翻訳産物が含まれることを明らかにした。またC6orf106の機能低下が細胞死や細胞増殖に影響するか探索した結果、C6orf106はがん細胞の増殖には影響しないが、C6orf106のノックダウンやノックアウトによる機能阻害は、初代培養細胞の細胞増殖を低下させることが明らかなった。また初代培養細胞では、プロテアソーム機能を阻害しない場合でも、C6orf106の機能阻害が核へのユビキチン化タンパク質の蓄積を引き起こすことがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
C6orf106の機能阻害が、初代培養細胞の増殖低下を引き起こすのがどのような理由によるものか、C6orf106ノックダウン細胞、ノックアウト細胞のRNA-seqを行い、どのような細胞応答が起きているか明らかにする。そのことでユビキチン化タンパク質核外搬出の生理的意義に迫る。
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