2020 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the role of mitochondrial dynamics in cancer stemless
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19K06657
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
笠原 敦子 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (00447244)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミトコンドリア動態 / 幹細胞性 / カルシウム動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアは絶え間ない融合と分裂によって、その形態、運動性、また他のオルガネラとの接点形成を含めた細胞内局在を細かく調整している。このミトコンドリアの動態は、主に内膜融合因子dynamin-like GTPase optic atrophy 1 (OPA1), 外膜融合因子dynamin-like GTPases mitofusin (MFN) 1, 2, 分裂因子dynamin-related protein 1 (DRP1)によって制御され、エネルギー供給、アポトーシス、カルシウム、代謝制御など多面的なその機能を通して多岐にわたる生命現象に深く関わっている。 本研究課題は、ミトコンドリアがその細胞内局在によって、どのようにがん細胞の幹細胞性の獲得や維持に関与しているか、ミトコンドリア動態と幹細胞性について明らかにすることを目指している。 2020年度は、正常、がん幹細胞様細胞の分化誘導によって、ミトコンドリア形態制御因子の発現の変化、ミトコンドリア形態の変化を観察し、さらに、 小胞体とミトコンドリアの距離も変化していることを見出した。ミトコンドリア分裂因子DRP1を欠損させたES細胞は、ミトコンドリアが分裂できなくなるため、分化細胞のような伸長したミトコンドリアを示すが、小胞体との距離も変化することを観察した。今後幹細胞性や分化能への関与について、機能解析を進め、精査していく予定である。一方、分子標的薬耐性肺がん細胞がミトコンドリア融合因子OPA1を利用して薬剤耐性を維持していることを見出しているが、OPA1特異的阻害剤を用いて、ミトコンドリア呼吸機能低下やチトクロムc放出制御によるアポトーシス亢進により、分子標的薬感受性を回復させることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画が概ね達成されており、総じて順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
未分化・分化細胞のミトコンドリア動態の違いと、Ca2+動態をはじめとするミトコンドリアの機能的制御について精査し、正常やがんの幹細胞性がどのように維持されているか明らかにする。
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