2019 Fiscal Year Research-status Report
オルガネラ量の恒常性を保つシステムの根底原理の解明
Project/Area Number |
19K06662
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳谷 耕太 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (70614775)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オルガネラ / ストレス応答 / 細胞周期 / ホメオスタシス |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類を含む高等動物においては、機能が異なる種類の細胞間では、それぞれのオルガネラ量の多寡は異なるが、同じ種類の細胞間では、各オルガネラの量は非常に類似している。これは、それぞれの種類の細胞には、オルガネラ量を一定の範囲に保つ、オルガネラ量恒常性システムが存在することを示唆している。本プロジェクトでは、このオルガネラ量の恒常性維持システムの解明を目標としている。一般的に、何らかの恒常性を研究するためには、その安定した状態をかく乱する必要がある。そこで、オルガネラ量を変動させられる細胞株の作製を試みた。その結果、薬剤依存的にミトコンドリアを減少させる細胞株を樹立することができた。その細胞株を用いて、ミトコンドリア減少が引き起こす細胞応答をRNA-Seq法で解析し、ミトコンドリア不足に対して発現が変動する遺伝子群を明らかにすることができた。その遺伝子群の解析では、ストレス応答や細胞周期にかかわる経路が活性化されることが見出された。興味深いことに、ミトコンドリアを減少させる過程をLive cell imagingによって解析すると、細胞の増殖がかなり遅れることを見出している。これはミトコンドリア量をモニターする細胞周期チェックポイントの存在を示唆しているのかもしれない。現在は、トランスクリプトーム解析で見出した発現変動遺伝子のレポーターを作製し、その細胞応答を引き起こすシステムの炙り出しを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書で提案した研究計画書の通り、オルガネラ量の減少によって引き起こされる細胞応答を記述し、注目すべき細胞応答を絞りこむことが出来ているので、(2)のカテゴリーを選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で見出した、ミトコンドリア不足で引き起こされる細胞応答を引き起こすシステムを炙り出し、その意義を明らかにする。また、他のオルガネラに対しても、同様の解析を行う。
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