2021 Fiscal Year Annual Research Report
オルガネラ量の恒常性を保つシステムの根底原理の解明
Project/Area Number |
19K06662
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳谷 耕太 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (70614775)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミトコンドリア量制御 / オルガネラ / 選択と集中 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳動物細胞がミトコンドリア不足の状態に陥った場合、特殊なストレス応答(mitochondria deficiency stress response: MDST)が活性化することを見出した。この応答が、ミトコンドリア量恒常性に果たす役割を検証するために、ミトコンドリア減少からの回復期にそのストレス応答を阻害し、その効果をプロテオミクスで検証すると、ミトコンドリア内の遺伝子発発現が、MDST依存的に、回復することを示唆していた。ミトコンドリアゲノムには、呼吸鎖複合体の一部のサブユニット群がコードされており、核コードの他のサブユニット群と、定まった化学量論比で組み合わされることで、機能的な呼吸鎖複合体となる。ミトコンドリア不足状態では、ミトコンドリアゲノム由来のサブユニットの供給が不足すると考えられる。その際、ミトコンドリアゲノムの遺伝子発現が促進される現象(今回の発見)は、核-ミトコンドリア遺伝子発現のアンバランスを解消し、かつ、呼吸鎖複合体の量的な回復を促す理にかなった恒常性応答であると考えられる。上述のように、ミトコンドリアの回復期には、ミトコンドリア遺伝子発現が促進される。興味深いことに、それは、MDST依存的に、偏ったミトコンドリア内で生じることを見出した。その意義については、現段階では明瞭ではないが、ミトコンドリア不足のような危機的な状態では、細胞は、性能の良いミトコンドリアを積極的に選別し、そこから、遺伝子発現をさせる「選択と集中」戦略を取っているのかもしれない。この内容は、近いうちにまとめて発表する。
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Research Products
(1 results)