2019 Fiscal Year Research-status Report
白色脂肪細胞での脂肪蓄積制御機構とその破綻による脂肪肝、2型糖尿病発症機構の解明
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19K06665
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
竹中 延之 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20610504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 孝哉 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20251655)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Rac1 / 脂肪酸 / インスリン / 白色脂肪細胞 / 脂肪肝 / 糖尿病 / 肥満 / 異所性脂肪蓄積 |
Outline of Annual Research Achievements |
白色脂肪細胞は糖や脂肪酸を取込み、中性脂肪として蓄積する。我々は、低分子量GTP結合タンパク質Rac1が白色脂肪細胞での中性脂肪蓄積に重要な役割を担い、Rac1を介した中性脂肪蓄積機構の異常が脂肪肝の原因である可能性を示唆する知見を得ている。2019年度は、初代白色脂肪細胞を用いたin vitro系にて脂肪酸取込みへのRac1の関与の検討ならびに脂肪細胞特異的rac1ノックアウト(Adipo-rac1-KO)マウスを用いて、Rac1欠損による白色脂肪細胞の機能に対する影響について検討を行った。コントロールマウスおよびAdipo-rac1-KOマウス由来の初代前駆白色脂肪細胞を脂肪細胞への分化誘導系を構築し、インスリン刺激による脂肪酸取り込み量を検討した。その結果、Adipo-rac1-KOマウス由来の細胞では脂肪酸取り込み量の有意な減少が認められた。このことから、白色脂肪細胞でのインスリン応答性の脂肪酸取込みにRac1が関与する可能性が示唆された。また、分化に伴う脂肪滴のサイズもコントロールマウスと比較して小型化を示すことが明らかとなり、Adipo-rac1-KOマウスが示す白色脂肪細胞の小型化が再現された。次に、各マウスの血液学的解析を行った結果、Adipo-rac1-KOマウスは血中遊離脂肪酸濃度の有意な上昇が認められた。この結果はin vitro系での解析と同様に、Rac1が脂肪酸取込みに関与する可能性をより強く示唆するものである。次に、白色脂肪組織の組織学的解析を行ったところ、Adipo-rac1-KOマウスの白色脂肪組織では、炎症細胞の浸潤増加ならびに線維化の亢進が認められた。今後、rac1ノックアウト白色脂肪細胞で発現変動する脂肪合成・分解に関与する遺伝子およびアディポカインを同定し、Rac1欠損による白色脂肪細胞の機能に対する影響を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究実施計画に基づいた解析により、Rac1の新たな機能を見出すことができた。また、Rac1を介した脂肪酸取込みシグナル伝達系の解析に有用なツールの開発も終了したことから、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初代白色脂肪細胞の分化誘導系を用いて、rac1を介したインスリン応答性の脂肪酸取込みシグナル伝達経路ならびにRac1欠損による白色脂肪細胞の機能に対する影響を明らかにする。また、Adipo-rac1-KOマウスと肥満モデルマウスob/obマウスとの交配により創出した脂肪細胞特異的rac1欠損ob/obマウスを用いた解析を推進し、脂肪細胞でのRac1欠損による全身への糖脂質代謝への影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
想定していた旅費の支出がなくなり、その分を物品購入に充当したが残額が生じた。 使用計画としては、次年度の物品費に充当する予定である。
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